東洋人がけして少なくない教団の中でも、尚。在る意味ワンパターンといえなくも無い色彩の彼があれ程目立つのは何故なのだろう。
勿論他の要素を挙げれば、その美貌、それを裏切る口の悪さと手の早さ、切れやすい性格など数限りないのだろうけれど。
それ以上に彼を象徴するのが、―――――――団服の色にも沈まない、けして何色にも汚されない高潔の黒。
綺麗な物を穢してみたいと言うのはありがちな欲求で、全員が全員そんな下衆な事を考えていた訳ではないだろうけれど。彼と親しくなりたいと思う人間の数は、相当数がいた。それは彼を嫌う人間の数とどちらが多かったのか。僕には計り知れない。
だけど、全てを寄せ付けない高潔の黒は、未だに何の色にも染まらない。
「…………、」
僕は食事の手を休めて、真正面の神田をじっ、と見つめた。
…………一緒に、同じ任務について、帰ってきて。
小さな言い争い(時たま手が出る)を繰り返して、お腹が空いて、食堂に来た。
「…………」
量が量だから、先に食べ終わって暇らしい神田はぼーっとお茶を飲んでいた。
その僅かな動きにつられて動く、彼の長い漆黒の髪。
(いいなぁ)
「黒っていいですよね」
「…………あ?」
神田がいかにも何言ってんだテメェ、っていう感じの顔で僕を見た。
フォークに刺した唐揚げをゆっくり振った僕は、その視線を受け止めて見返す。
「何の色にも染まらないってのが格好いいと思います」
「…………」
褒められているのは分かるけど何を褒められてるのか分からない。って所かな?
「白なんて―――――――何にでも混ざっちゃう」
一滴でも他の色が混ざればそれはもう「白」じゃない
なんて脆い色。
僕は今何の色? 誰の色? 本当に白?
ああ駄目だ、またマイナスの思考になる。折角神田とご飯なんていう滅多にない機会なんだから、もうちょっと楽しいことを考えよう。
場を盛り上げるような会話を探していると。
「―――――――何言ってんだお前?」
神田が呆れ果てたような声で、そう言った。
「ガキの頃に絵の具で遊ばなかったのか」
「―――――――え?」
「俺なんか随分あのオッサンにやらされたってのに…………くそ」
いや、僕は芸術方向はからきしですが。
「「俺の色」(黒)に「お前の色」(白)が混ざると、灰色になるんだぜ」
―――――――かしゃん
力を失った僕の手からフォークがお皿の上に落ちた。
「混色の基礎の基礎だろ…………。お前今度あのオッサンに教えてもらえ」
「―――――――、」
さらっとそう言った神田は、また目を閉じてお茶を啜った。
「神田」
「あ?」
「取り敢えず物は相談ですが」
「僕と灰色になってくれませんか」
君と混ざって溶け合って
―――――――ひとつになりたい。
グレイカラーな僕と君。
<終>
10000くらい…………?でキリリク頂きました那托様へ!
…………えー、大変お待たせいたしました…………(九月頭ですね 頂いたの)
いまいちリクエストを消化し切れてるのか疑問が残りますが、献上いたします!
…………何だか色々申し訳ございませんでした!