現パロ。
 神田嬢っぽいかもしれないけどそうじゃないかもしれない。










 ユウとは大学で出逢って、それから一目惚れで恋に落ちた。
 野郎共に人気があったから玉砕覚悟で告白したらあっさりとOKされて逆に拍子抜けした記憶がある。
 それから何度か俺達には危機があった。
 最初は俺達が二年次に進級して、学部が違いでキャンパスが別れたとき。
 次は俺が断り切れなかった合コンに出て、酔っ払った女の子を家に泊めたとき。(神に誓って何もしなかった!)

 それから社会に出て、離れたところに就職して、互いの時間が全く合わなくて半年以上会えなかったとき。電話もメールも忙しさにかまけて二ヶ月位しなかった。

 電話越しに「別れろ」って言われたときはどうしようかと思った。それから直線距離にして100キロの所にあるユウの家にバイクですっ飛んでった。
 そしたらユウは泣き腫らして真っ赤な目で、こんなに直ぐ来れるなら何で来ないんだ、って怒った。
 それからは二日に一度電話して、どんなに忙しくても一月に一度は会うようにしている。

 今夜はそんな、月に一度のデートの日。ついでに俺がユウにプロポーズする予定の日。

 本当は予約してあったレストランで渡そうと思っていた指輪は今まだ俺の手の中にある。
 何故なら俺が約束の、そしてレストランに予約してあった時間に遅れたからだ。急な仕事のトラブルでどうしても抜けられなかった。仕事での遅れに関しては寛容なユウはそれほど怒った様子はなかったけど俺は凹んだ。しかもそれでいてやることはしっかりやろうとしてる。こんなんで大丈夫か、俺。

「ラビ?」
「あっ」

 いつの間にかシャワーを終えて戻ってきて髪を拭いながらユウは不審そうに俺を呼んだ。多分今の俺は一人で顔芸してたんだろう。

「ユウ、ちょっと話があるから此処座って」
「…………そこにか?」

 因みに此処はベッドだ。
 ユウはちら、と俺を見てそれからベッドの上に上がってきた。その場で正座する。

「…………」
「…………」

 俺達の間には微妙な沈黙が落ちた。
 五分くらいそのままで、それから俺はユウの左手を取った。

「?」

 何をする、そんな顔で俺を見る。
 俺は覚悟を決めて、ずっと手に隠し持っていた指輪を薬指に嵌めた。

 ああ、俺は駄目な男さ。気の利いた言葉の一つもでやしないし、ユウの反応が恐ろしくて顔を合わせる事も出来ない。
 だけどそんな俺の恐怖はユウの言葉であっさりと、そりゃもうあっさりと瓦解した。

「…………遅ぇんだよ。どれだけ待たせたら気が済むんだ、お前」

 ユウはそう言いながら、心底愛おしそうに俺が嵌めた薬指の指輪にキスした。

「…………っ」

 それから、ポロポロと大粒の涙を零す。

「…………うん、待たせたね、ごめんね」

 ずっとずっと待っていてくれた人に一生の愛を誓ってキスを。
 離れる事のないように互いを縛る指輪は、ユウの指でキラリと得意げに輝いた。



 あれ、このラビダメ男じゃね?