えげつないエロです。
R18。
獲物を前にした単純な情欲、雄でありながら雌として扱われる青年への微かな憐憫めいた感情、そしてそれすらを飲み込んで有り余る雄としての優越感とある種の征服欲の極致の中に男の中にあった同性を抱くという事への嫌悪感は飲み込まれた。
男が自らの帯に手をかけ前を寛げ、赤黒く脈打ち始めた雄の象徴を取り出すのを青年は嫌悪に満ちた眼で見、そしてその醜悪さに見るに耐えないとばかりに顔を背けた。男が自らの手で二、三度扱き上げると雄の象徴はその怒張を激しくし尚熱を帯びる。
「、」
男は顔を背けた青年の、髭の一つもなくまるで年端も行かぬ少年のように滑らかなその頬に雄の先端を押し付けた。
嫌悪か屈辱か、その両方にか。燃えるような怒りを憎悪のような色に変えた青年が眦を釣り上げ横目で男を強く睨む。それは男の征服欲と破壊欲を尚更刺激した。
先走りの滲む先端を頬になすりつけてから堅く引き結ばれた唇へと宛てがう。青年が刷いていた紅が男の先端を赤く染めた。
「ほら、早く咥えろ」
押し込もうにも青年は堅く歯を食い縛っている為押し入ることもできない。
口で言って従うようにも見えない――――――寧ろ従わないほうが愉しいとすら言えたが――――――青年に、男は瞬間考えを巡らせ、それからその白い首に手を伸ばした。
「! っ、ぐ、っ!!」
女相手であれば折ってしまうかもしれない程の強さで男は青年の首を閉めた。直ぐに青年は酸欠の金魚のように苦しげに口を開く。
その隙を逃さず、男は首から手を話して雄を青年の喉奥に捩じ込んだ。
「うぐ、ぐぅ、っ、ぐ、」
根元まで捩じ込んだ男は青年が抵抗できぬようその後ろ頭を抑えつけ、喉の少しでも奥まで貫こうと腰を遣う。
息苦しさと異物感に顔を歪めた青年の眼からは涙が零れ落ちる。それは屈辱故かもしれなかったが、男にとって青年の心中など想像してみても興奮する材料となるだけだ。
男が暫く乱暴に喉奥を犯そうと腰を遣っているとやがて観念したか、青年は大人しく舌を雄の幹に這わせた。
口技を仕込んでいるという番台の言葉に嘘偽りはなく、確かに青年の舌先は絶妙に男の快い所を刺激した。喉奥を犯す楽しみを手放し男は青年の柔らかな舌先を堪能する。
「最初からそう大人しくしていれば良いものを…………」
そう言いながら同時に男は、青年が抵抗しなければ此処までの興奮は味わえなかったのであろうなと考えていた。
生娘が如しの嫌がりようからは考えつかない程青年の舌技は熟練していた。これは浮雲と甲乙付け難い、との考えが男の脳裏をちらりと過る。
男は納得した。女犯を禁じられる僧は兎も角、女を飽いる程抱いた好事家が何故この青年を買うかをだ。
太夫や他の女達との遣り取りでは、多少拗ねてみせたりつれなくしたりと駆け引きめいた事もあるが、それはあくまで言葉と態度のみが許される。一番格下の遊女ですら無理を通して苦しめ痛めつければ男衆が飛んできて男を引きずりだすだろう。
だが、この青年に限ってはそれもない。それは太夫に値するとまで言いながら見張りを部屋の外に置いていないことからもそうと知れる。
多少の手荒は、可。嫌がる態度は手荒に扱わせる理由付けにすらなるのだろう。とはいえ、青年は恐らく演技でも何でもなく本気で嫌がっているようではあったが。
暫く青年の舌技を堪能していた男は駆け上がってきた気配に自ら腰を引いた。赤黒い雄は青年の唾液で卑猥に濡れ光っている。
開放された青年は下を向いて苦しそうに咳き込んだ。その青年を男は遠慮無く蒲団の上で突き飛ばす。後ろ手に戒められているため手をつくことが出来なかった青年は顔から蒲団の上に崩れ落ちた。
呻き声は気にかけず、男は青年の乱れた緋襦袢の裾を腰まで捲り上げた。下履きの類は身につけておらず、男の目の前には仄白い双臀が露になる。
柔らかな女の物とは違う引き締まったそれを暫く撫で回してから、蒲団脇の布乃利の入った小瓶に手を伸ばした男は中の汁に指を浸してからそれを青年の双臀の合間に押し込める。
「っ!!」
青年が引き攣った息を漏らした。指を奥深く迄押し込んだ男は加虐的な笑みを浮かべながら抜き差しする速度を早める。
「っく、うぁっ…………」
慣らす事が目的なのかただ責め苦を与えるのが目的なのか良く分からない行為に青年は苦しげに息を漏らす。それは情事の喘ぎにも似ていた。布乃利の所為で抜き差しの度に立つ淫猥な濡れた音もまた女を抱く時に似ており、責め立てる男を存分に喜ばせる。
青年にとっては男を抱くことに慣れていない男から受けるそれは苦痛でしかなかった。それでも意に反して男に抱かれる事に慣れた、否、慣らされた躰は刺激に迎合し男の指を飲み込む部分は柔らかく解けて行く。同性を抱く事に慣れていない男にはそれが自然で普通の反応だと思われたが青年は指摘されずとも自分で勘付き、男から見えない顔で唇を噛み締めて一筋悔し涙を零した。
「之くらいで良いか」
男は独り言のように呟き、指を引き抜いた。異物を引きぬかれた青年の菊座はひくりと戦慄き、男には誘われているようにも思えた。
自らの腰元で雄を主張する肉の凶器を指で散々に弄んだ所に宛てがい、
「――――――っ!」
一突きで根元まで入り込んだ。青年の背が雷にでも打たれたかのように激しく突っ張り痙攣する。
女とは違う、異物を食い千切ろうとでもするかのような強すぎる締め付けに男は眉根を寄せ、しかし負けてなるものかとばかりに青年の腰を掴み無茶苦茶に自らの腰を揺さぶった。慣らしが足りなかったか男の動きが乱雑過ぎるせいか、布乃利の潤みにも関わらず青年の菊座は傷つき血を流した。
「はは、は。まるで生娘のようじゃねぇか」
そう嘲笑う男の言葉は、痛みと異物感に声を出すまいと必死で堪える青年の耳には届いていなかった。それは青年の矜持の為には僥倖だろう。
だがやがて、そんな青年には自身が最も厭う現象が襲いかかった。
「っ、…………っ、!!」
知られてなるものかと青年は必死で声を殺す
それまで痛みと嫌悪と屈辱に項垂れたままだった青年自身の雄にも、熱い血が巡り始めていた。
男に抱かれる事への慣れと、この座敷に送り込まれる直前に飲まされた効き始めるのが遅い媚薬による反応だ。男に抱かせて青年を反応させる、心と矜持を一番傷つけるその残酷な薬は、どんなに拒もうとも番台を始めとした楼閣の男達に抑えつけられ口をこじ開けられ、無理矢理飲み込まされるのが常だった。それは単に客がその方が愉しいから、ただそれだけの理由だ。同じように抱くのなら反応の無い相手よりも喘ぎ狂う相手の方が愉しい。遊女達が大袈裟なまでに喘いでみせるのもその所為だ。
だが余所の楼閣、いや、色街の女達では見ることの出来ない、最初は嫌がり抗う青年が徐々に客の手で快楽を得、淫靡な姿を晒して行くという過程は遊び慣れた客達を強く惹きつける。その為には最初の抵抗は激しい方が良い。その方が不本意な絶頂を迎えさせた時との落差が激しい。客達はつかの間青年を心身ともに従属させた気分を味わう事ができる。
「あふ、ぁ、…………!」
「!」
青年の願いと努力も虚しく、ついには口元から上擦った吐息が漏れた。
それまでの呻き声とは大分趣が異なるその吐息に男は腰を鷲掴みにしていた手で青年の雄を探る。そこは熱く堅くなり、首を擡げていた。
手で触れられた事で自分が不本意ながら快楽を得ている事を気づかれた青年は屈辱の余り堅く目を閉じ唇を血が出る程に食い縛った。
案の定気を良くした男は、その晩青年を四度求めた。
最後の方には青年には逃れる気力すら起こらず、戒めを解かれた後も蒲団に臥し大人しく陵辱を受け続けた。それを自らへの従属と受け取った男は大層満足し、朝の帰り際には揚代とは別に幾許かの金を蒲団の上で仰向けに寝転がり動かない青年の白濁の散った腹に載せて帰った。
男が迎えに来た番台と共に去り、一人陵辱を受けた姿のまま転がっていた青年のもとにやがて世話役が来た。
腹の上に置かれた金と青年の様子に昨夜の客も大概だったか、と溜息を吐き、
「大事にとっときな。こんな所、さっさと足を洗いたいんだろう? その程度の金でも足しにはなるさ」
「…………」
青年にそう声を掛けた。
楼主が今所有している、元は青年の物であった刀には恐ろしい値が付いている。その額、まさに一千両。
青年の揚代は三両、その内青年の取り分は一両。刀を買い戻そうと思えば千回躰と魂を売り渡さねばならない。
虚ろな目で腹の上の金を握りしめた青年に、果たしてそれまで青年の心は持つのだろうか――――――世話役は、そう考えて再度深く溜息を吐いた。
最初は六幻を取り戻すために楼閣で下働きする筈だったのに美しい容姿をしていたが為に無理矢理身売りさせられるようになった神田。
オチ? ありません。だれか親切な人が六幻ごと身請けしてくれるんじゃないかな。(投 げ た)