ラビ×ユウ(←アレン)海賊パロ。
大変恐れ入りますがこちらの小説は十八歳未満の閲覧は堅くお断りします。
エロ及び暴力・残酷表現が非常に強くなります。どちらかと言えば残酷表現がメインです。普通に人が殺したり殺されたりします。
登場人物の大半が腹黒(アレン)かヤンデレ(ラビ)かイカれてる(神田)かのどれかです。
上記の設定に不快感を覚える方もどうぞお帰りください。
<1> 荒くれ者共の狂宴
「お頭ぁ! 前方に船影あり!」
「何処のだ」
「ありゃあイスパニアの船です! 武装してます、海賊船です!」
「あらま…………同業者さね。船長、どうするさ?」
どうする、とは問いつつも答えを知り尽くした笑顔。
周囲の荒くれ男達も期待と早くも興奮を浮かべた顔で彼らの船長を仰ぐ。
一際豪奢な作りの船長席に掛けた、部下達の視線を一心に受けた彼は――――――私掠船「ブラック・スワン」の若き船長は期待に答えるべく、凄艶とも妖艶とも言える笑みを浮かべて命令を下した。
「んなもん、決まってんだろ。――――――全て奪い尽くせ。一つ残らずにだ」
獲物への興奮の歓声は、船を低く揺らした。
ブラック・スワン号はイングランド国籍の私掠船(プライヴァティーア)だ。
船員数は百余名、私掠船としては小粒ながら逆にその大きさと操舵士の腕により良く小回りが効く。静かで滑る様な、そして素早いその動きはその名の通り、水上の黒鳥を思わせる。
海賊船では無く私掠船であることから「お行儀の良い海賊」(ジェントリパイレーツ)ともあだ名される。実際彼らと海賊の相違点は母国籍の船を襲うか否かだけであるので、そのあだ名もあながち間違っているとは言えないだろう。
ブラック・スワンの本日の獲物はイスパニア船籍の海賊船。鱈腹財宝を積んでいるそれは、黒の白鳥にとってはさぞや甘い餌であろう――――――。
悲鳴と絶叫、死臭と血臭が辺りに満ちる。
黒い小山となって折り重なる人の体だったものは最早ただの肉塊でしかない。
そこから染み出る赤黒い液体で甲板には歪な絵が描き出されていた。きっと落とすには苦労するだろうが案じることは何もなかった。どうせこの船は沈むのだから。
「はっ!」
鋭い気合の声と同時に、胴体と離れ離れになった頭部がごろり、と転がった。それは恐怖を浮かべた顔のまま、離れた勢いで甲板を転がって行き海へと消える。
人一人を肉塊に変えた彼は表情一つ変えること無く、その場で血しぶきを上げながら崩れ落ちた体の方を蹴り飛ばし、同じく海へと返した。
元より黒かった衣服は彼の物ではない血をたっぷりと吸い、赤黒く不気味な色に染まっている。袖口からは鮮血がポタリポタリと滴り落ち、それは犠牲者が一人二人では済まない事を意味していた。
目の前から異物を片付け終わった彼は周囲をぐるりと見回し、怒鳴りつける。
「ちんたらやってねぇで、とっととぶっ倒せ!」
その怒声に船員は震え上がり、慌てて目の前の敵への攻撃の手を早めた。彼らに取って恐ろしいのは敵でも海軍でも海の魔女でもなく、彼らの若き船長だ。
そして一時間後。
一つの大型船が海の藻屑へと消えた。
ブラック・スワンが平らげた餌は今年に入って一番の量であり、船は歓喜に包まれた。
操舵室に呼び集められた船員は誰も彼もが血を洗い流したままの為、濡れ鼠だ。濡れて汚れた床に、掃除当番の者が微かに肩を落とした。今日その当番当ったものは不運であろう。
同じくこちらも濡れ鼠の船長は彼以外誰も座ることの無い椅子の上で鷹揚に座っている。
「金塊が十キロ、宝石の大きいのがダイヤにルビーとサファイア、あとエメラルドの原石。小粒の石がそれ以外にもたくさん。あとエジプト細工の金の首飾りに…………」
戦闘要員ではない為乾いたままの副船長が船長に対し戦果の報告の最中だ。
「その他諸々合わせて、価値は凡そ200,000ポンド」
確かな目を持つ彼が導き出した金額に、おぉ、と微かに船員がどよめいた。その額は戦果としてけして小さいものではない。
「チンケな海賊の割には溜め込んでたな」
「そうさね。ところで、このダイヤ多分国のだけどどうする? 何代か前の国王の王冠の奴さね、これ」
その言葉に船長は微かに眉根を寄せた。副船長が卵でも持つかのような気楽さで掴んでいるのは、正しく卵程の大きさのダイヤだった。
私掠船には国の許可を得る代わりの義務がいくつかある。その一つとして、母国の政府筋から奪い取られた物が戦果の中に紛れ込んでいた場合、その返還の義務があった。勿論その義務は、往々にして放り出されていたが。
飾りの類であれば石を外してから潰して金塊として売り払えば良いし、石そのものならば分割してしまえばいい。もっともダイヤの価値は大きさと比例する訳ではないから――――――比例どころではなく倍の大きさのダイヤには倍以上の金額がつく為に――――――損な話ではある。その上分割しようと持ち込んだ細工師が国に密告すれば面倒な事になるだろう。
暫しの沈黙の後溜息と同時に吐き出されたのは、
「んなもの、売るにしたって足が付く。仕方ねぇ、海軍の狗にくれてやれ。ここの所上納金も収めてねぇしな」
その言葉に微かに落胆の呟きが漏れたが、それでも表立っての不満は出ない。
「了解。じゃあそれ以外で分配って事で」
「全員テメェの分け前ぶんどったら配置に付け。全力で島に戻るぞ。戻り次第、総員配置解除。四十八時間の猶予を与える」
「お頭は話が早くて助かるぜ!」
「チッ。脂ぎった目で人を眺め回す癖に良く言う。四十八時間後きっかりに出航する。遅れた奴はボートでも泳ぎでも、好きに使って追いつけ。――――――解散!」
ドッ、と湧いた彼らを薄く笑みを浮かべて眺める船長に副船長が同じく笑みを浮かべてちらり、と視線をやった。
血に塗れた荒くれ者共の興奮は未だ冷めやらない。それを覚ますに手っ取り早いのは陸に上がって女を抱くことだ。
今回の戦果は末端の水夫への分け前ですら、旨い飯と酒と女を二晩手に入れる事を可能にする程だった。恐らく次に陸に上がったときにも同じ事ができるだろう。
「悪かねぇな」
呟かれた言葉は、興奮に包まれた船員達に伝わることは無く。
ただ隣に控えた副船長のみが、応えて笑みを浮かべた。
これも実は元々同人誌用だったネタ。陽の目を見そうにないのでここに放置。
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