今度はラビ&アレンが酷いことに。



 とある平和な教団待機の日。
 昼飯にと食堂へ向かっていた俺は道すがら同じく食堂に向かっていたアレン、リンクと出会い一緒に食堂に行くことにした。
 俺は図書館帰り、アレンは鍛錬帰り。リンクは勿論その監視。

「今日は平和さねー」
「そうですねぇ」

 呑気にそんな事を話しながら食堂に向かっていると。

「…………あ、」

 隣にいたアレンが小さく声を上げて、後退った。リンクもやや表情を顰めるように歪める。
 丁度廊下の角から姿を表したのは、

「ユウ!」

 瞑想でもしてたのか、朝食後から見かけなかったユウが居た。
 俺達を認めると少し考えこむようにその場で立ち尽くし、それから自分の懐に手を突っ込んだ。

「?」

 ん? 何さ?
「何か」を握ったユウは片足を上げて大きく振りかぶり――――――

 ビュンっ!!

「!?」

 俺の頬の横を「何か」が駆け抜けていった。そしてそれは俺の斜め後ろに居たアレンの顔面にっ!!

 ガシャンっ!!

「うわっ!!」

 真正面から当たったアレンが悲鳴を上げて顔を覆った。は、鼻が痛そーさ…………

「だ、大丈夫かアレン?」
「だ、大丈夫じゃ…………」

 その時、視界の端にさっきアレンに向けて「何か」を投げつけた時と同じ様な姿勢をとっているユウが入った。

 ガシャンっ!!

 振り向く間も無く、それは今度は俺の横っ面にヒットする。…………ってぇ…………。
 
「…………随分ナイスコントロールさね、ユウ」

 つーかなにこれ? 水?

「な、何なんですかもう!?」

 衝撃から立ち直ったらしいアレンが怒鳴り声を上げた。鼻が真っ赤だ。折れなくて良かったさね…………

「あぁ? テメェらが悪ぃんだろ」

 だがユウはそんなアレンの怒りなど何処吹く風、至極当然の権利を行使したと言わんばかりに腕を組んでふんぞり返った。

「約束したのに何時まで経っても来ねぇじゃねぇか」
「…………約束?」

 アレンに「何か」が当たった時に飛沫が掛かったのか、自分の頬をハンカチで拭いていたリンクが不審げに呟く。

「約束!? 何ですかそれっ!!」
「あ? 言ってただろうが! 俺が女だった時にヤらせたら、次はお前らが女になってヤらせるって」
「…………あっ」

 あー。そういえば、言ったなあ。俺が。

「…………ウォ、ウォーカー?」
「…………!!」

 ざぁっ、と血の気を引かせた顔のアレンとそんなアレンを呆然と見やったリンク。
 うーんでもアレンは言ってないと思うけど…………まーいっか。

「つーと、あれさ? この液体って」

 水だとばかり思ってたけど。

「こないだ俺が被った奴と同じだ」

 あー…………ですよねー…………

「◯×△□???!?」

 冷静に告げられた事実に一気に恐慌状態に陥ったアレンが頭を抱えた。
 角にいたユウがてくてくと歩み寄ってくる。

「効いたか?」
「今んトコ特には…………、おっ!?」

 胸が熱くなってきた!?
 もしかして生えるんじゃないだろうか。
 胸元を引っ張って中を覗き込む。ユウも興味があるのか一緒に覗き込んできた。今は普通の真平らな男の胸だけど。

「もしかして生える?」
「少し時間掛かるぜ。俺も浴びた瞬間じゃなかった」
「マジ…………うわっ!?」

 声! 声!!
 なんかキモい、妙に高い!! 自分の声の筈なのにめっちゃ違和感あるさ!!
 驚いて口元を思わず抑えた。声に気を取られている間に、

「…………生えたな」
「え? 見逃した…………ってかキツイ! キツイさこれ!! ちょ、無理!!」

 なんか布がブチブチ言ってるけど!!

「割とデケェな」

 ユウが感心したように頷いた。
 サイズはこないだのユウよりも少し控えめ。…………だけど既に重い。違和感バリバリさ、何これ…………。

「Cの70さ」
「だから何で分かるんだよお前は…………」
「ユウ俺を誰だと思ってるんさ? ブックマンJrさよ?」
「ブックマンって下着屋だったのか。そりゃ知らなかったな」
「酷っ!?」

 そんなんじゃないさ!!
 ん、と思いだしたようにユウは俺から視線を外し、斜め後ろで頭を抱えているアレンに視線を向けた。
 アレンの胸は――――――特に何もない。俺より先に浴びた筈なのに変化が起こってない?

「…………」

 ユウは再度さっ、と懐に手を突っ込むと再度取り出した。ここからならよく見えるそれは瓶入りの液体だ。コムイ作の女体化薬入りのだろう。
 アレンが頭を抱えていて自分を見ていないことを良い事にユウはその蓋を開けて、

 じゃばっ。

 そりゃもう遠慮無く、アレンの頭から掛けた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜だから君は、…………っ!?」
「あれ? 声は変わってる?」

 怒号を上げようとしたアレンの声は甲高い少女のそれだ。
 胸は生えてないのに?

「…………お前、」

 ユウは少し考えこむようにしてから、

 ぎゅうっ!

 割と手加減無くアレンの胸を触った。…………女の子にやったらセクハラで訴えられて負けるレベルだ。

「っ!? 痛っ!!!」
「…………生えてるっぽいぞ? おいラビ、」
「ほいさ。ちょっと失礼アレン…………あ、あるさね。ちっちゃいけど」
「つまんねー奴だな」
「つ、つまんない!? ち、ちいさ…………!?」

 アレンの胸はどうやら服で簡単に隠れるサイズだったらしい。でも触った感じは確かに柔らかい所もあって、ようはアレンは貧乳な訳だ。

「年齢考えりゃ妥当じゃないの? これからさ、これから」

 何だ微妙にダメージを受けたらしいアレンの肩を軽く叩いておく。

「取り合えずブラ貰いに行こうぜ」






 こ れ は ひ ど い。
 真に酷いのはコレをラビュだと言い張ろうとする事である。