神田がエロテロリスト。
「あーあ、えらい目に遭ったさぁ…………」
「だな…………」
「…………」
ぶつくさ言いながら修練場へ向かう。
ユウもげんなりした顔だ。
アレンは横目で俺達を見ている。
「そいやユウ、結局そのブラ誰に貰ったんさ?」
「総合管理班」
「へぇ、そんなんの在庫もあるんだ。でもどーして着ける気になったんさ?」
「俺だってこんな息苦しい上に窮屈なもんは御免だ。…………が、」
ユウがフッ、と遠い目をする。
「知ってたかラビ。これ着けねぇで走ると、乳もげそうになるんだぜ」
「…………マジか」
「マジだ」
「痛い?」
「物凄く」
確かにアレだけの質量が揺れたら、そりゃ痛そうだ。
「下はどーしてんの?」
「こういうのは揃いで付けるのが決まりなんだとよ」
成程、じゃあ下の方も上のに合ってるの付けてるのか…………。
アレンがどっか遠くを見ながら「ああああああ」とか言ってるけどどうしたんだろう、腹でも減ったんか?
俺達は修練場で手合わせする事になった。訓練用の剣を使った剣での戦闘訓練だから、正直あんまり俺には縁が無い。
最初はユウ対アレン。アレンが微妙に難色を示したけどユウは無視して戦闘態勢に入っている。
しかしまあ、ユウの何時も同じ素材のインナー(恐らくサイズは違うんだろうけど)は、その豊かな胸の形をくっきりと浮かべていて周囲の奴ら(主にファインダー)がごくり、と喉を鳴らしている。その中にうちのジジィが混じってたのは…………まぁいい、見なかったことにしよう。
ユウの目の前にいるアレンは「目のやり場に困る」という顔で、どこか斜め上を見上げていた。少年には中々刺激がキツいらしい。
「――――――はっ!」
開始の合図と共にユウがアレンに打ち込んだ。瞬間、胸が大きく揺れる。
うーん、もっとホールド力のある奴じゃないとやっぱ痛そうだ。
始まってしまえばアレンも恥ずかしがってる場合じゃない。数度打ち合い、
そして事件は起こった。
――――――ビリビリビリッ!
「「!!」」
あっ。
アレンの剣の切っ先が、ユウの胸元を引き裂いた!
何時もの真っ平らな胸とは違い質量のあるそこに剣先を引っ掛けたらしい。
引き裂いたアレンも、引き裂かれたユウも呆然としている。しかもインナーだけじゃなくて下着までも一緒に斬ったらしく、自由になった胸がぷよん、と揺れた。
シン、と修練場に沈黙が落ちる。
呆然としていたアレンは徐々に汗をだらだらと流し、顔を紅くしたり蒼くしたりしながら「あ」だの「う」だの言っている。
ユウは溜息を吐いてアレンに自分の剣を押し付け、
「おいラビ、まだ替えあると思うか?」
全く引き裂かれた前に無頓着、前開きになってしまったインナーを閉じる気すらなさそうな様子で頭をガシガシ掻きながら戻ってきた。
「さぁ…………ところでユウ、せめて前隠そうよ! 見えちゃいけないピンクのが見えちゃってるさ!」
「あぁ?」
裂かれた所の両端が辛うじて胸に(というか多分乳首に)引っかかって隠してるけどでも駄目さ、ポロリってレベルじゃなくなってる。
「うっせーな、野郎の胸見て喜ぶ奴なんかいねーよ」
いや、今は女の子の体だし、しかも喜んでる奴一杯居るよ? この辺に。
今だ修練場の中央で呆然と立っているアレンには周囲のギャラリーから声援が掛かっていた。要約すると「良くやった! 感動した!」だけどアレン本人は全くそんな心算なかっただろうから若干気の毒だ。
「アレン。アーレーン!」
「っ!」
立ち尽くしているアレンを何度か呼ぶと、数度目でハッ、とした顔をして駆け寄ってきた。
「すすすすす、すいませっ…………!」
絶妙にユウ(の胸)から視線を逸らしつつ、謝るアレンにユウは面倒臭そうな顔をした。
「もー、駄目さぁアレン」
「お前これリナリーにやったらコムイとリナリーにブチ殺されんぞ」
確かに。
でもリナリーは此処まで大きくな…………よし止めとこう、まだ死にたくないさ。
俺の近くに居たギャラリーは固唾を呑んでユウを見ている。ユウ、腕動かすの止めようよ、メッチャ見えてるさ。
「俺、新しいの貰ってくるさ」
「いい、自分で行く」
「駄目だって、そのままで? それなんて露出狂系痴女?」
「痴女モノって興味ねーんだよな」
今そんな話はしてないけどね。
「ぼ、僕が貰ってきま…………」
「アレン、総合管理班のお姉さんに『ブラジャー下さい、Dの65のです』って言えるんか?」
「…………っ!」
おぉ、真っ赤だ。今のアレンならモヤシじゃなくて紅しょうがが妥当さ。
「お前良く知ってんな、サイズ」
「見りゃ分かるさー。じゃあそういう訳で俺貰ってくるさ。あ、アレン」
「は、い?」
俺はアレンの手を取った。
そのままユウの胸を覆うようにして触らせる。
「!!!!!!???????」
「バツとして俺が戻ってくるまでこのままユウに手ブラな。あんまり見せて歩くのもどうかと思うさ」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
「こんな生暖かいの、気持ち悪ぃぞおい」
「ははは、じゃあ行って来るさー」
数分後俺が戻ってきた時そこは血の海になっていた。
罰かご褒美かは人による。
15歳には刺激が強かった。