胸パンされるわ直揉みされるわでブチ切れる神田。
 ティキはエロい事してるつもりはない。




「アレン!」




 アレンよりも幾らか遅れて外に飛び出すと、既に戦いは始まっていた。
 発動させた左手で周囲を薙ぎ倒していくアレンはちら、と俺達を見る。
 俺の背後では、こちらも既に六幻を発動させたユウが丁度手近なところにいたレベル1を二体纏めて切り捨てた。
 上空には四人人影があって、こっちを見下ろしている。

「弾幕かよ鬱陶しい!」

 ノアに近づこうにも無数に散らばっているアクマが邪魔でそれも中々叶わない。ユウが苛立ったように吐き捨てた。確かに有象無象とはいえども、こんなにいると面倒でしか無い。
 俺も負けじと発動させて、当たりを薙ぎ払う。

 と、だ。

「あっれー?」

 無邪気そうな、それでいて全く無邪気ではないロード・キャメロットの声が直ぐ側から聞こえた。
 散々な目に遭わされたこともある。ぞわり、と背筋に寒気が走って、慌てて飛びすさる。
 だけどロードの目は、ユウに向けられていた。

「あっ、ぶなっ、!」

 突然現れたロードにぎょっとした顔をするユウの腕を掴んで、ロードがさっ、と消える。
 何処へ連れて入った、と慌てるも上空、他のノアの元に直ぐに現れた。遠くでアレンが上空に向かって怒鳴ってる。
 俺もユウを奪還すべく、槌を構えた。









「ねー、これどう思う?」

 ロードが攫って(?)来たエクソシストに対する違和感に思わず眉根を寄せた。直ぐ様暴れだそうとしたので慌てて後ろから腕を掴み上げて拘束する。

「何だよコイツ?」
「ヒッ?」

 ジャスデビが不審そうな顔だ。エクソシストだっつーのはその携えてるイノセンスで分かるんだけど、顔を余り見たことがないんだろうジャスデビには何でロードがわざわざ連れてきたのか理解出来なさそうだ。
 とはいえ俺は見たことある。違和感の正体は直ぐに分かった。

「…………あんた、女だっけ?」

 あれ…………女はあの可愛い子だけだった気がするんだけど。

「んな訳無いじゃん、ティッキー馬鹿ぁ?」
「バーカバーカ」
「バカティキー」
「おいこらジャスデビ、お前らに馬鹿呼ばわりされる筋合いはねぇぞ!?」

 お前ら知らねぇじゃねぇか!

「これ、ホンモノ?」

 つん、とロードが指でその胸元を押した。
 うーん、男だったはず、だよな?

「風船でも仕込んでんの? ねーねー」
「触んじゃねぇクソがっ! 放せっ!」

 うぉっ、見かけによらず力強いな!?
 鋭い蹴りにジャスデロが悲鳴を上げてデビットの後ろに隠れる。

「ジャスデロに何しやがる!」

 怒ったデビットがその胸(?)を殴った。

「っ!!」

 悲鳴こそ上げないものの、エクソシストは痛みがあるのか顔を顰めて眉根を寄せる。…………痛覚あんのか、これ。

「つーと、ホンモノ?」

 拘束を片手に持ち替えて、空いた方の手を胸の伸ばした。服を通り越して、直接触ってみる。

「っ!?」

 ひゅっ、と小さく息を呑んだ音が聞こえた。
 うーん、それにしても。
 柔らかくて少し湿り気のある肌は確かにリアルな質感なんだけども。
 でも前回江戸で対峙した時は、確かこの胸はまっ平だった。ちょっと残念、って思った記憶あるし。

「…………? 精巧な玩具かホンモノなのか…………どっち?」
「っ、!!」

 身を捩るエクソシストの耳元で訊いてみる。ロードは少し俺達から離れて興味深そうな顔だ。
 と、不意にロードが下を向いた。

 どうした、と訊こうとした瞬間。

 頭部に受けた衝撃に、仰け反った。

「こんの、セクハラ一族がっ!!!」
「…………ブックマンJr?」

 何か変な図だ、槌っぽいのに跨ってる。あぁ、コイツのイノセンスこれだっけ? 
 それに乗ってきたブックマンJrに俺は思い切り蹴り飛ばされたらしい。
 性別不詳のエクソシストはそいつに抱えられている。

「あーあ、人質奪還されちまったよ…………」

 ぼやていると。

「ティ、ティキッ! 後ろっ!」
「へ?」

 ジャスデロの焦った声に振り向くとそこにいたのは、

「…………や、やぁ少年。久しぶり?」
「久しぶりですねティキ・ミック。所でイノセンス破壊以外にもセクハラ活動でも始めたんですか」

 全力でジト目になってる、アレン・ウォーカー。

「…………おいモヤシ、そこのガキ以外の三人押さえつけろ」

 面倒そうな雰囲気、撤退しようかなとか考えてると、ブックマンJrに抱えられていたエクソシストが不機嫌通り越して氷のような声で、そう言った。

「あとラビ、この槌貸せ」
「貸すのはいーけど借りてどうすんの? 発動できないっしょ」
「…………やられたから百倍にして返す。――――――テメェら全員◯◯◯◯叩き潰してやる!」

 吠えられた内容は、まさしく俺達が真っ青になるのに十分すぎる内容だった!
 あ、ダメ、無理、想像するだけで痛いっ…………!
 思わずちょっと内股気味になる。

「下脱げコルァァァァァ!!!!」
「ヒィィィィィ!」
「ジャ、ジャスデロー!!」
「あっ、馬鹿、ジャスデロ!」

 何でお前捕まってんの!!
 ブックマンJrの槌の上に器用に立ったエクソシストにいつの間にかジャスデロが取っ捕まってるし!?

「ユウ、槌貸したら俺ら落ちるって!」
「じゃあ六幻で切り落とすからいい」
「「「ヒィィィィィィ!!!」」」
「うっわー、えっぐーい」

 ロード、楽しそうに笑ってる場合じゃねぇよ!!

「撤退!! 撤退しようぜ!?」
「でもジャスデロ回収しねぇと!」
「早く脱がねーと下半身ごと真っ二つにして切り捨てんぞ!!!」
「お前本当に(自称)神の使徒か!? 使徒とかエクソシストとかいう以前に人間として問題あんだろ!?」
「うるせェ! やられたら百倍にしてやり返せって教わんなかったか!」

 何処の世界のマイルールだそんなもの!!

 俺達がぎゃいぎゃい騒いでる間に、ロードが空間を繋げた。ジャスデロを掴むエクソシストの手に杭を打ち込んで(当たってないけど)、そのままジャスデロをそこに「落とす」。

「先帰るよぉ?」
「ちょ、ちょい待ちロード! 俺達も帰るって!」
「チクショー、覚えてろよ!?」
「次に見つけた時にはテメェらの◯◯◯◯切り落としてやるからな!」

 どんな捨て台詞だよおっかねぇな!

 俺とデビットもそこに飛び込んで、そして空間は遮断された。








「…………逃げた?」
「みたいですね。…………まぁ損害が出なかっただけ良かったとしましょう。ところで神田、大丈夫でしたか?」
「痛ぇ」
「どれどれ、見してみ?」

 立っているユウを手招きして座らせる。
 インナーをペロンと捲り上げて、ブラを押し下げた。

「あっちゃー。赤くなってる。痣になるかも」
「あのクソノア、思い切り殴りやがった」
「後で痛いの痛いの飛んでけしてあげるから機嫌直すさ」
「そんなんで治るか!」
「…………」

 アレンがまたしても遠くを見上げた。
 あいつ、最近よく遠く見てるなぁ。何かあったんだろうか。

「取り敢えず、消毒しとくさ」

 外に出てる範囲の、赤くなっている所に舌を伸ばした。
 ちろ、とナメるとユウが眉根を寄せる。

「痛い?」
「…………」

 眉間にくっきりと皺が出来ている。

「あ」

 と、ユウが突然間の抜けた声を上げた。

「ん?」
「モヤシが落ちてった」
「え?」

 見ると、今さっきまでその辺にいたはずのアレンがいない。

「落ちた、って大丈夫かね?」
「大丈夫だろ、あいつ頑丈だし」
「それもそっか」

 俺達は納得して、本部の中に戻った。




 ◯◯◯◯=ゴールデンボゥル。BR>  ティキはエロ目的じゃないのにセクハラ認定される悲しさ。
 誰かお前の方がセクハラだと突っ込んでください。
 
 アレンは「消毒」を見て撃沈しました。
 尚一連の出来事は全てモニターで教団内部から見られてる。18歳達は全く気にしてない。