出来上がってるアレ神嬢。草食系に見せかけた肉食系×肉食系。
それを見せつけられるリンク。
リンクはチェリー。
今日一日の報告書もまとめ終わった。
これでもう、後は眠るだけだ。
軽く肩を掴んでほぐしながら、既にベッドに入り自身のゴーレム・ティムキャンピーを弄る監視対象のアレン・ウォーカーをちら、と見る。
不審なところも無い。何が楽しいものやら、ティムキャンピーの口元(?)を引っ張っている。…………ゴーレムに痛覚は無いのだろうか。
ふと、彼の手遊びが止まった。
眠る気になったかと、ただそう思う。
だがしかしその考えなど、甘いにも程があったことは――――――僅か数分後に思い知る羽目となる。
「リンク、すいません」
「何ですか、突然」
手遊びを止めたウォーカーは私を見て苦笑した。
「これから少し、五月蝿くなります。なるべく三十分以内に終わるようにしますけど」
今は既に、日付が変わるまでに残り五分を切っている。
「三十分? 今何時だと思ってるんです。君は成長期なんだから早寝早起きに務めるべきで…………」
「いや、それは分かってるんですけどね。でも、もう来ちゃうから」
「…………来る?」
誰が?
そして、数十秒後。
ノックすら無く荒々しく部屋のドアを開いたのは――――――ウォーカーの天敵、神田ユウだった。
「あ? …………何で鴉野郎がまだ此処にいるんだよ」
「私はアレン・ウォーカーの監視を」
「んな事ぁ知ってる。モヤシに聞いてんだ。追い出しとけっつっただろ」
「彼は僕の監視なので、出ては行かないと思います。だから何もしてませんよ」
「チッ」
舌打ちした神田ユウはジロリ、と私を見る。
彼女は初対面の時から随分な態度だが、それは私だけにではなく全てに人間に対してそうだった。最たる相手がウォーカーだ。
性格、というより考え方が合わないのだろう。事あるごとに衝突している。ウォーカーは基本的に女性には紳士的に振舞うことを好むが彼女だけは例外のようだった。
そんな事をつらつらと考え、導き出した答えは、
「今から喧嘩ですか? 明日の朝にしなさい」
何かまた、不満なことでもあったのだろう。呆れを籠めてそう伝えると、
「あぁ?」
神田ユウは私を鬱陶しそうに見た。彼女が他人の忠告など聞き入れる性格ではない事位、知っているが。。
「ま、喧嘩って言えばそれっぽいですけどね」
「朝でも構わねーがそれはそれで他所から苦情が来るだけだろ」
ドアを閉めてウォーカーのベッドの近くまで歩いてきた神田ユウはウォーカーの方へ体を向けつつ、顔だけ振り向いて私を見やる。
「…………まあ、いい。ギャラリーの一人や二人、そういうプレイだと思えば別にいようがいまいが、だ」
「以前ラビが見学希望だった時は絞め殺そうとしませんでしたっけ?」
「相手による」
「成程」
随分、普段より親しげに話しているが…………
「そもそも神田ユウ、そのような格好で仮にも女性が男性の部屋をこんな時間に訪れるものではありません!」
風呂上りのような格好の彼女は濡れた髪に薄いシャツと随分と緩やかなラインのスラックス。
人によっては寝間着にもなりそうな格好だ。
私の忠告に、鼻を一つ鳴らした神田ユウは、一言。
「――――――はん。『ソレ』が目的なんだよ」
そう言って、それから。
ベッドの中の、ウォーカーの上に乗り掛かった。