2008年に書いてそのままにしてあった話。
古いので設定も古いです。ネア? ナニソレ状態。
でも折角だから晒しあげ。
アレン×神田嬢です。死にネタです。ご注意下さい。
「交わり、そして離れる道」
決めてたんです。
貴女に告白した時、何があっても一生この人を護り続けよう――――――と。
だけど僕は。
『寄生型のエクソシストは、体に負荷がかかる。故に長くは生きられない』
…………僕がそれを聞いてしまったのは、たまたまだった。
たまたま、任務終了を報告しようとして訪れた室長室。
そこで、コムイさんと、医療班の偉い人と、中央庁の誰かとの会話が漏れ聞こえてしまった。
僕は寄生型だ。
だから、長くは生きられない。
それは、君を守れないという事。
聞いてしまったそれに、僕が選んだのは。
彼女をこれ以上傷つけないように、別れるという選択肢だった。
神田の顔なんて見れるわけがなかった。背を向けて、まるで壁に話しかけるようにして、言った。
「ごめんなさい神田。…………僕と別れて下さい」
今さっきまで愛を交わしていたのにこの言葉。
不実な男だと思ってくれればいい。罵倒して憎んで、僕が死んだときにはいい気味だ、とでも思ってくれれば、いい。
「…………何故?」
しばしの間をおいて帰ってきた返事は意外と平静だ。
彼女に気づかれないように必死でこちらも平静であろうと――――――装う。
「…………好きな人が、出来たんです」
「…………」
後ろで神田が微かに身じろぎした。
刺されたって僕は文句は言えない。
「…………そうか。なら、そいつと幸せにな」
…………帰ってきた返事は、何処までも平静だった。
俺達が付き合いだしたのは、半年前だったから実質俺達は半年しか持たなかった訳だ。
「僕と別れて下さい」
不意打ちで告げられた言葉に、最初、反応できなかった。
理解すると同時に、胸に広がる痛み。
「好きな人が出来たんです」
だけど同時に瞬時に悟った。これはこれ以上無い機会だ、とも。
俺は、あいつを受け入れる時に言わなければならなかった筈のことを言わなかった。
俺は長くは生きられない、というその事を。
今此処で別れてしまえば、こいつが苦しむことはない。突然の死は、驚きはするだろうが…………優しい奴だから、仲間が死ねば悲しむだろうが、しかしそれはあくまで仲間としてだろう。
耐え難い痛みと、裏腹な安堵という矛盾する感情を抱いて、見えていないことを承知で俺はただ壊れた人形のように首を縦に振った。
俺が知らないまま死ぬ筈だったもの。
…………短いものだったとしても、見せて貰った夢は幸福だった。
だから、せめて。
「…………そうか。なら、そいつと幸せにな」
…………せめてそれが、負け惜しみに聞こえないように願いながら、俺はモヤシの幸せを、祈った。
俺とモヤシが別れたことは程無くして親しい奴らの知るところになった。
別にいい。隠しているわけでもない。一方的な別れだったわけではなく、互いに了解してのことだ。
詮索さえされなければ、…………どうでも良かった。
『だって、でも…………神田は、それでいいの? 本当に、それでいいの!?』
当事者の俺よりも余程悲痛な顔をしたリナリーが、何度も言い募ってきた。
良いに決まってる。俺はあいつを深く傷つけずに済んだ。
大体、離れてしまった心を――――――どうやって繋ぎ止めるんだ?
『…………良くなかったら今頃あいつが五体満足でいられると思うか?』
『でも…………変だよ、そんなの…………』
変だ変だと繰り返すリナリーをなんとか宥めすかして、俺はこれまでと変わらない日々を送った。ただ一つこれまで、この半年間と違うのはずっと傍に居た存在が、俺の隣が、ぽっかりと空いている事だ。
何も変わりはしない。。何も。俺が死ぬその瞬間まで。
そう、思っていた。
「陽性反応だ。…………妊娠、してる」
その言葉を聞くまでは。
互いへの気遣いが裏目にでる。