2008年に書いてそのままにしてあった話。
古いので設定も古いです。ネア? ナニソレ状態。
でも折角だから晒しあげ。
アレン×神田嬢です。死にネタです。ご注意下さい。
「交点か生じた結果或いは奇跡」
体調不良で訪れた医務室。いくつかの検査の後、青い顔をした医師と婦長にコムイを呼ばれ、あぁこれはいよいよ持たないのか、と思っていた矢先。
医者に輪を掛けて青い顔で飛んできたコムイは、医師に渡された紙を見て悲痛な顔をして、一言。
「陽性反応だ。…………妊娠、してる」
「…………は?」
ピシリ、と空気が音を立てて固まった。気がした。
大きく、深く溜息をついたコムイが一言。
「…………出産及び妊娠の継続は認められない。医療班も同意見の筈だ」
「それは俺がエクソシストだからか?」
「違う。…………出産が確実に君の寿命を縮めるからだ。というよりは恐らく、君の残りの寿命では耐えられないだろう」
「…………」
子供を産むのは命がけ。
よく聞く言葉だ。
反応がある、そう言われても尚此処に自分以外の命があるなどとは信じがたく、下腹を撫でる。だが。
「中絶するなら早いほうがいい、その方が体にダメージが少ないからね」
コムイと医師が話しあう。婦長だけは俺をチラ、と見た。
…………。最もな話だ。
俺はエクソシストで、目的があって、最後の瞬間まで戦い続けるべきだ。悠長にガキだなんだと言ってる場合じゃない。それは分かってる。
手術の日程、それまでの任務のキャンセル。俺を交えることはなく全て決められた後。
「…………父親は、アレン君?」
「聞いてどうすんだよそんな事。どうせ殺すガキの事なのに」
「…………そう、だね」
辛そうに視線を落とすコムイに苛立った。何でお前がそんな顔をするんだ。何で。どうして、お前が。
「…………君やアレン君にどれほど恨まれてもいい。僕は、君の命を最優先に、するよ」
…………どうして。
まだ人の形にもなってない。ただの異物、腹の中に居座る異物を摘出するだけだ。
理性がそう語りかける。
――――――人の形になってなくても自分の子供だ、俺と、アイツの子供。もうアイツの手を失った今、俺に残るのはこの子供だけだ。
愚かしい心はそう語りかける。
どちらに耳を傾けるべきかなんて分かっていた。
分かっていた、筈だった。
その日、教団から一人のエクソシストが姿を消した。
「神田が、教団を出奔…………!?」
任務先で受け取った通信に頭が真っ白になる。どうして、神田が。あの、神田が…………
『…………もしかしたら君の所へ向かうかもしれない』
「え…………」
それは元、恋人だから?
いや違う、きっと彼女は此処にはこない。彼女は見事なくらい僕になんか未練はないと、態度で示してくれた。
僕らの関係は変わったんじゃなかった。戻ったんだ。付き合い始める前、互いに好意を抱く前の所に。
『…………もしも見かけたら捕獲してくれ』
その言葉を最後に通信は切れた。
けれど、僕は確信を持っていた。けして神田が僕の前には姿を表さないであろう事に。
その数カ月後、僕は一つの通信を受け取った。
コムイと医師は医学的見地から判断した。