ラビの誕生日が夏場なので事情により50話程度の設定になります。ラビはまだ神田が女な事に気づいてない。神田がほんのりラビに片思い状態。





「…………ん?」

 ピロリロリン♪ と間抜けな音を立ててメールソフトが受信を告げる。この音の割り当ては身内だ。

「あぁー…………そんな季節だったさぁ」

 忘れてた訳じゃないけど気にしてなかった。親父・お袋・ジジィ、それから従兄のディックと伯母さんと…………
 Happy Birthday,というタイトルをザザっとななめ読みしておく。
 次いでに銀行からは入金通知のメール。プレゼントにと振り込まれた現金だろう。我が親なら分かってるもんさ。
 別にこの年になって誕生日なんて大して感慨がある訳でもない。365日の中の1日。それだけだ。

「ふぁ…………」

 椅子の背もたれをぐっと後ろに逸らしながら背筋を伸ばす。
 夏休み中の今やることと言えば彼女と遊ぶかアレン達と遊ぶか、こうして論文書いたり何したり…………課題なんぞというものは俺には存在しない。
 パソコンのモニターの直ぐ横に置いてあるコーラのペットボトルを取る。歯で齧りながら蓋を開けて残りを飲み干すと炭酸が抜けていて実にマズイ甘ったるい液体だった。
 冷蔵庫の中にストック、あったよな。
 弾みをつけて起き上がり、キッチンへ。
 丁度そんな瞬間。

 ピンポーン

 来客を告げるチャイムが鳴った。 







「…………はへ?」
「ようパンツマン誕生日」「おめでとう! ラビ!」
「ちょい待ちデビット誰がパンツマンさ」

 由来は考えずとも分かる。たった今の俺の格好は上はタンクトップ一枚、下はパンツ一枚。…………いいじゃん誰といる訳でもなし。
 だってもう一枚履こうとしたらその前にドア開かれたんさ。不可抗力だ。

「どうでもいいからそのみっともないの仕舞ってくださいよラビ。女の子のならともかく野郎のなんて見たって何も楽しくないんですけど。むしろ不愉快です」
「…………」

 笑顔でひっでぇ事をサラっと抜かすアレンと、無言で顔を背けるユウ。…………あれ? ユウの反応のほうが酷くない?

「家ん中でどんな格好したっていいじゃん…………」

 ブチブチ文句を呟きつつ、それでもその辺に脱ぎ捨てておいたデニムに足を通す。

「んで…………どーしたんさ? 課題? それともテストの中身?」

 どっちがお望みさ?
 俺がそう尋ねると四人は揃った動きで首を横に振り、そして。


 パァンッ!!


 盛大な音でクラッカーを鳴らした。

「Happy Birthday、Lavi!」
「誕生日のお祝いに差し入れです。はいどーぞ」

 アレンが俺に白い大きめな箱を押し付ける。
 受け取るとずいぶん軽い。…………何が入ってるんさ?

「Lサイズでよかったですよね?」

 …………あー、うん。把握した。確かに一応彼女も出来たことだ、これからお世話になる回数も増えるだろう。
 でも幾ら何でも全部それって事はないだろうさ、だってそれだけだったらマジで年単位の在庫になる。
 どうせ他のもエロ系だろうな、と予想をつけつつ何となくユウと見る。…………と、ジャスデロと一緒になぜかエプロンを付けていた。ご丁寧に三角巾もつけている。

「?」
「ホームクリーニングだってプロに頼んだら高いでしょう?」
「まぁ、そりゃ確かに…………」

 俺が見ている間にユウとジャスデロはさっ、と別れた。ジャスデロがリビング、ユウがキッチン。ユウも一度うちに泊まりに来てるから最早勝手知ったる状態さ。別にいいんだけど。俺が使ったきり片付けてない食器を黙々と洗い始めた。

「つーかお前誕生日今日だろ。彼女どーしたよ」
「俺誕生日教えてないし」
「何で?」
「だってメンドいじゃん、下手に祝われて私の時は三倍祝ってねとか言われてもさ」
「三倍はホワイトデーだけじゃねぇのかよ」

 欲しい物だって別に無いし。
 ああ、でも驚いた。誕生日に誰かが訪ねてくるなんて何年振りさ?
 顔に出たのか、

「…………お前って案外ボッチだよな…………」
「誰がぼっちだ」

 面倒事を回避する賢い子なだけさ。…………自分で言っててちょっと虚しい。
 
「ボッチのラビにケーキのプレゼントです」
「ちょ、アレンマジやめてカットケーキ一つとかちょっと泣けてきちゃう」
「「AHAHAHAHAHA」」
「笑うなっ!」

 笑い事じゃねーっつーんさ!

 あぁ。でも。
 少しだけ――――――「   」。

 顔が少し緩んだ。馬鹿みたいさ。こんな事で。こんな事なのに。
 少しだけ。





<終>





 少しだけ、嬉しい。



 プレゼントはゴムとエロ下着とAV。プレゼント選定は主にデビットとアレン。神田とジャスデロは選ばない代わりに体で働く。
 このシリーズは元々仲悪いラビュ(嬢)という設定でラビが実は神田とタメ張る位ツンだった は ず なんですが正直最新話とか見るともうその面影のかけらもないというね。
 改めてツン成分の残ってる頃の話を見返したんですがダレダコレ。
 ラビュなのに神田が絡まないのはこの当時この二人にビミョーな緊張感があったからです よ。本編完結してるであろう来年にご期待ください(ひでぇ
 ところで誕生日分マジ薄いパート2。