野菜の煮物と鶏肉の照り焼きを大量に生産しながら、五合炊きの炊飯器の能力を遺憾なく発揮させる。
 出来上がったものをパットに乗せて、冷めた物から冷凍室へ。
 段々料理じゃなくて工場で何か作ってるような気分になってきたが、まぁどうでもいい。
 俺が淡々とそれらをこなしていると、突然声をかけられた。

「――――――あれ? お前…………」

 声に俺が顔を上げると、台所の入り口にいたのは如何にも学校帰り、といった出で立ちのティキだった。
 ティキの方は驚いたように俺の方を見つめている。

「…………何、ラビかアレンのセフレ?」

 …………セフレ、って何だ?

「あ? 何だそれ?」

 俺が思ったままに答えるとティキは尚更目を見張った。
 ティキは中に入ってくると、俺の直ぐ傍までやってきた。…………邪魔なんだが。

「きれーな顔してるけど、男…………だよな?」
「は?」

 きれーな顔? 誰が?

「…………名前は?」
「あ?」

 ティキは俺の顎に指を掛けて俺を仰向かせた。…………くそ、なんだこの身長差をアピールするような真似は…………!

「昨日名乗っただろ? もう忘れちまったのか?」
「…………へ?」

 ま、兄弟ってもそんなもんかも知れねぇな。あのモヤシ曰く俺にその気が無くてもライバル同士、らしいし。 

「いいか? 俺の名前は神田だ。七福神の神に田畑の田。分かるか?」

 俺はこれ以上無い位丁寧に解説してやった。
 これでもまだ忘れるようならこいつの頭がそういう出来だって事だ、それはそれでその時は諦めよう。

 しかし俺がそう名乗ると、ティキはぽかんと口を開けて俺をじっと凝視した。

「え? 神田? …………ユウ?」
「何だ、覚えてんじゃねぇか」

 説明して損した。

「…………帽子と趣味悪いグラサンは?」
「趣味悪いが余計だ。あんなん、家にいるならいらねーだろ」

 流石に泣いて目が赤くなってたから、とは言いづらい。男子が泣いてただなんて恥だ。
 
「――――――はー、いや、予想外。びっくりしたよ兄さんは」
 
 何が?

「うん、まぁ、これなら納得。――――――こりゃあの親父も執着するわ」
「??」

 ティキはまるっきり理解できない俺を置いて、一人で納得してうんうん、と頷いた。
 

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