「「「…………」」」

 …………非常に居た堪れない。
 ジャスデビは唖然とした顔をしている。

「…………ともかく、離せ」
「お、おう…………」

 デビットがぱっ、と両手を離す。
 こほん、と咳払いしながら俺達は居住まいを正した。
 互いに少し赤面しながらさり気無く視線を逸らす。
 デビットが斜め上を見上げながら言った。

「あああああ、あいつらおせーな」
「そ、そ、そうだねっ!」
「「そうでもないさ(ないです)」」
「「「うおっ!?」」」

 何時からいやがった!? ってか声掛けろ…………!!

 そう思いながら声の発生源――――――俺の背後――――――を慌てて仰ぎ、

 そして俺は思わず黙り込んだ。

 ラビとモヤシの透けて見える怒気と冷気。
 それに、ジャスデビは気の毒な程に蒼褪めている。
 
「デビット」
「ジャスデロ」
「「さぁ、どうして欲しい?」」

 どうもして欲しくねぇだろうな…………

 俺が見ている目の前で、奴らの表情は恐怖に歪み絶叫を上げていた。







「…………ったく、僕らの神田にちょっかい出すからですからね?」

 …………ジャスデビはソファーの上にぺたりと座り込んですんすん泣いている。
 ちょっと気の毒になってきた…………。

「ユウもユウさ。何で油断すんの。ちゃんとどつき回さないと」 
「…………お前ら…………」

 それが仮にも友人に言う事か?

「そうですよ神田。後でお仕置きですからね?(性的な意味で)」
「そうさね。覚悟しといてよ?(夜の的な意味で)」
「!? 何で俺がっ…………」

 とばっちりじゃねぇか!!

「だーめ」

 言いながらラビが人差し指で俺の唇を塞ぐ。
 
「大丈夫、いい子にしてれば痛くしないさ」
「際限なく信用できねー」

 いつもいつも人が気絶するまで追っ掛けまわす癖して!!

「それはそうと、ティキは?」
「んあー、そういや何か外出してたさ。何処かは知らないけど」


 シュッ


「じゃあティキの分食べちゃいましょうか」

 モヤシが素早くテーブルの上の箱に手を出した。

「おいおい待て待て」
「アレンには一箱ちゃんと別にあるんだよっ!」
「其れは勿論美味しく戴きますがそれとは別に…………」
「メタボになるぞ…………」

 むしろそれより糖尿が怖ぇ。

「これカット? ホール?」
「ホール」
「じゃあ切り分けてくる」
「あ、神田僕の分はいいですからねそのままで」
「あのな…………」

 まぁいい突っ込むだけ無駄だ。
 俺は片方のケーキの箱を持って、台所に引っ込んだ。





「…………何だよあれ、反則じゃん」

 ユウがキッチンに入った後。
 デビットはそう呟いてぐったりとソファーに沈み込んだ。

「ふふん♪」
「まー気持ちは分かりますけど。だけど神田に手でも出した暁には次の太陽は拝めないと思ってくださいね」
「「怖っ!!」」

 月並みな表現だけど、頑なだった蕾が一気に綻んだ感じだ。
 元々誰もが認める美貌を持つのに、そこに一気に色香が加わって今のユウは色々な意味で危険で、大変さ。

「でもまーそれなりに苦労もあるんさ」

 同じ学校に通ってる以上虫除けは俺一人の役目、だ。

「あー、大学? どう?」
「どうもこうも…………どうして共学のガッコ進学させちゃったかなって…………」

 敵は野郎共以外にもたくさんいる。特に女の子。
 しかも手荒に出来ない分実に性質が悪い。

「それさ」
「絶対」
「「お前狙いもいるよな?(ね?)」」
「う…………」

 …………確かにそうなんだけど。
 
「かといってラビに神田の半径1km圏内立ち入り禁止令出してもしょうがないですしねぇ…………」

 アレンが溜息をつく。
 ってか!!

「何さその立ち入り禁止令って! 大体1kmも離れてたら学外じゃん!」
「気合でどうにかしてください」
「どうにもならんわ!」

 なってたまるか!!

「あれ? アメリカ行ってる時はどうしてんの?」
「ああ…………」
「それはですね…………」

「俺が行ってんの」

「「「「あ」」」」

 掛けられた声に全員でそっちをみる。
 そこにいたのは、片手を挙げてるティキだった。 

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