日曜日の夜。

「おいっす、ユウ、アレンの様子どう?」
「熱は下がった。これなら明日は登校できるだろ」

 俺がアレンの寝室に行くと、ユウはまだ甲斐甲斐しくアレンの世話を焼いていた。
 今はアレンも眠っているらしく、静かだ。
  
 …………ユウって面倒見いいんさね。

 しかし俺にはそれが若干面白くない。
 何故ならアレンは、コレがチャンスとばかりにユウにべったりで甘えっきりだからだ。

 しかしアレン、お前さんユウの事嫌って無かったか?

 見てた限りあの二人は限りなく相性悪そうだったのに。
 多分、ユウはお母さんにしてもらってた事をそのままアレンにしてやってるんさ。
 だからあんなにまめに世話焼いてるんだ…………。

 …………イラッ。

「そっか、そりゃ良かった。…………で、ちょっといい?」
「ん?」
「仕立て屋が来てるんさ。制服届けにね。一応試着してみて、細かいサイズ調整すんだって」
「ああ…………分かった」

 ユウはアレンのベッド横の椅子から立ち上がり、一瞬アレンを振り返ってから俺について廊下へ出た。

「着替えなきゃいけないし、ユウの部屋でいい?」
「ああ」
「じゃ、俺仕立て屋呼んでくるから、部屋にいて」
「分かった」

 コクリ、と頷くとユウは自分の部屋へと戻り、俺は仕立て屋を呼ぶべく階下へと降りた。

 
 

 


「サイズは如何でしょうか?」
「問題無い」
「…………。」

 俺は仕立て屋とやらが持ってきた制服に袖を通した。
 焦げ茶の刺繍校章入りブレザーと、同色のスラックス。それから同じ色の校章入りの詰襟(何で二種類あるんだ?)。一年は一本、二年は二本、三年は三本…………と学年ごとにラインの数が違うというネクタイ。
 白いシャツと、靴と、鞄。指定の体操着と、運動用の靴。
 
 …………一揃えすんのに幾ら掛かるんだ?

「若干ウエストが緩いようですね。お詰めしますので」
「…………。」
「…………おいラビ、うぜぇぞ」
「…………だって…………だって…………」

 …………先程から部屋の隅で壁に向かって運動座りしているラビがうざくてしょうがねぇ。

「だって、ウエスト俺よりワンサイズ以上細い上に身長俺のが高いのにズボン長さ俺より長いってどういう事さー!!」
「うっせぇ、んな事知るか!!」

 そんなどうでもいい事でごちゃごちゃ抜かすな!

 俺がそうラビに怒鳴ると、部屋の隅で見学してたティキが苦笑いして仲裁に来た。

「まぁまぁ、そう言うなって神田。ラビだって思春期の格好付けたいお年頃なんだよ」
「はぁ?」

 意味分かんねぇ…………

「しっかしまぁ、似合うねお前さん」

 頭を手でポンポン叩かれた。

 …………だからガキ扱いみたいな真似すんなって…………

「こりゃアレだな、ラビ、しっかりガードしてやんねぇとすぐさま襲われる口だぜ?」
「…………分かってるさ、だから火曜に臨時の全校集会開いてお披露目しとく。理事長子息って分かってて手出す程馬鹿はいないさ」
「ま、それが正解だな」
「?」

 全校集会? お披露目?
 襲われるって誰が何に?

 分からねぇ事だらけの中、まさか俺は明日早々に全て強制的に理解させられる事になるとは夢にも思っていなかった。

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