バタバタバタバタバタッ!!


 ああ、また今夜も始まった。

『…………て、ば…………!』
『…………って…………さい!』
『…………けん…………ろ』

 ドア越しに聞こえてくる罵声。
 いや片方は罵声じゃないけどね。

 …………そろそろだ。
 あいつらがこの部屋に辿り着くのは。
 俺は、心の中でカウントしながらドアに向かった。


 さん。にぃ。いち。


 バタンッ!!!


 ガチャ!


「「あー!!」」

 …………我ながらぴったりなタイミングだ。
 ユウが駆け込んで来た瞬間、俺がドアを閉めて次いでに施錠した。


 ドアの向こうでは俺が締め出したラビとアレンが喚いている。

「ちょっとー!! 何日目だと思ってるんですかティキッ!」
「四日目。…………元はと言えばお前さん達の所為でしょ? さっさと部屋に戻る事ー」
「「ずーるーいー!!」」

 まだ喚いてるけど華麗にスルーだ。

 俺は駆け込んできて息が乱れたままの神田を振り向いた。

「だいじょーぶ? 神田」
「おう…………」

 最近、神田は夜になると俺の部屋に逃げ込んでくる。ちなみにクロスの部屋に逃げ込む確立と俺の部屋に逃げ込む確立はほぼ半々だ。
 理由は簡単。そうしないと性欲の権化・十代真っ盛りのラビ&アレンに襲われるからだ。いやまぁ俺だって十代中盤から終盤に掛けてまではまさにそれで毎晩相手をとっかえひっかえしたし朝までぶっ通し、ってのも何度もやった。
 しかし奴ら、手加減ってものを知らない。いや多分ラビは分かっちゃいるんだろうけどそこにアレンが加わると競争心もある所為かどうにも自制が効かないらしい。
 ともかく、翌日授業がある日に腰が抜けて砕けるまでヤられるのは致命的って事で…………

「あいつらもねー。いい加減学習すべきだと思うんだけど。あ、風呂使う?」
「借りる…………」
「シャツ置いとくから寝巻き代わりにしていいよ。いっといで」
「悪いな、毎回」

 自分のシャツを取りに戻ってる余裕なんて神田にある訳が無くて。
 そろそろ俺とクロスの部屋に神田の服、一式置いとくべきかな、なんて考えた。







 あの二人は何か勘違いしている。
 絶対している。
 俺とクロスが、毎晩毎晩神田を独占してる訳じゃない。回数から考えたら奴らの方がよっぽど多いだろう。
 …………だって。折角頼ってきてくれている美味しいポジション、みすみす潰す訳が無い。


 ブォォー…………


 ソファーに掛けている神田の髪を後ろからドライヤーで乾かす。
 乾かすだけでさらさらのストレートになるんだからスタイリング要らずだ。

「…………」

 眠いのか、先程からその頭が揺れている。

「眠い?」
「ん…………」
「寝るならベッド行こうね、お姫様」
 
 前に回りこんで抱え上げる。
 元々朝早起きな分、夜に弱い。
 …………あいつらももーちょっとそういうとこ汲んでやればあんなに逃げられねぇのにさ。


 …………明日起きたら、あいつら少し説教して、説得して…………


 神田は既に眠りの最中。
 そういえばこのポジション、美味しいけど損だよな、と密かに苦笑いした。
 頼ってくれるのも安心して眠ってくれるのもいいけど、その分無理は出来ない。

「ついでに俺もそろそろ限界って、分って貰おうか…………なぁ?」

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