「はいはいこちらにご注目ー」

 朝。
 俺は、降りてきたアレンとラビの目の前でパンパン手を叩いて奴らの注目を集めた。
 神田は現在朝食製作中だ。

「という訳で。回数制限しまーす」
「は?」
「ってか「という訳で」って何の事? 後、何の回数制限さ?」
「セックス」
「「やだ」」

 …………反抗的な弟達だなぁもう。

「やだっつーけどさ、このままずっと神田に逃げ回られるのとどっちがいい?」
「「…………」」

 …………二人が顎に手をやって考え始めた。何、そんなに考えないと結論出ないの? これ。

「…………ってかそもそも。何でユウは俺達から逃げんの?」
「そうですよ、ティキや師匠のとこにまで逃げ込んで…………」

 …………二人の背後には薄っすら黒いオーラが漂っている。

「そりゃだから昨日も言ったでしょ? お前らの所為。空気読まずに散々ヤりまくって、あん時の神田可哀相だったなぁ起き上がれなくて。実習落とすと単位危なくなるんでしょ? そりゃー怒られるよねー」
「「…………」」

 ざーとらしく節を付けて言ってやると二人は黙り込んだ。流石にあの日の事は悪かったと思ってるらしい。

 幼児教育の専門家(っていうと格好良いけどつまりは保父さんだ)を目指す神田は、別にあの大学での授業を落とそうが何しようがどうでもいいラビとは違って真面目に授業に取り組んでいる。
 そして学校では一週間前、初の実習が行われた。
 が、しかし神田はそれに不参加だった。理由は一つ。前夜、酒が入ってテンション駄目な方向に上がったアレンとラビに二人掛りで散々ヤられたからだ。
 起き上がる事も出来ずにベッドから一歩も動けない神田は本当に気の毒だった。

 だから、神田は平日に抱かれるのを嫌がるんだ。

「…………んで制限ね。二週間に一度、一人ずつって事で」
「二週に一度!?」
「ちょっと待ってください何その頻度の低さ!! 僕ら十代ですよ!?」
「俺も十代だ。…………お前らは二週に一度でもな、俺は二週に四回やるんだよ馬鹿」

 …………神田がキッチンからお皿を持って出てきた。

「正直コレでもキツいんだからな。身体持たなかったら随時回数減らすが」
「「そんな殺生な!!」」 

 演技でもワザとでも無く本気で、二人が神田の足に取りすがった。

「喧しい!」

 その二人を神田が蹴り飛ばす。
 それでも持っている皿は微動だにしない。
 流石のバランス感覚だ。
 
「ったく…………」

 二人に舌打ちして神田がテーブルに皿を置く。

「ティ、ティキはそれでいいんさっ!?」
「そりゃー正直物足りないけど。でもしょうがないじゃん。無理強いしたくはないっしょ?」
「「…………う…………」」

 途端に口ごもる二人を見て思わず笑った。
 何だかんだ言ったって、結局は神田が大事で大切で。
 ただアプローチの仕方はもう少し考えてもらう必要があるみたいだけど。

 だけどあいつら一つ忘れてるな。

 神田から欲しいって言い出したらその限りじゃないのに。


 薄く零れた笑みと共に、乾いてた唇を舐めておいた。

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