学校帰り、買ってきた食材を冷蔵庫に詰めてる途中。俺は異変に気付いた。

「…………ん?」

 …………おかしい。

「どしたのユウ、冷蔵庫なんか覗き込んで」
「…………ソーセージが無い」
「ソーセージ?」

 朝食用だ。
 買い置きで数袋はある筈が、それが全く見当たらない。

「アレンじゃねぇ?」
「…………そんなに肉ばっかりか?」

 モヤシは確かに大食いだが、だからと言ってそこまで肉ばっかり喰うような奴でもない。
 幾らなんでもそんなに毎日毎日ハムやらソーセージばっかり食うか?

「「…………?」」

 ラビと二人、顔を見合わせて首を傾げた。
 






「…………?」

 夕食に使う取り分け用の皿を並べながら、俺はまた首を捻った。
 モヤシが降りてこねぇ。

「何やってんだあいつ?」

 俺達が夕食の用意を始めて間も無く帰っては来てたが、それから全く姿を現さない。
 奴にしては珍しい。

「寝てるんさ?」
「さぁ…………ちょっと呼んで来る」
「へーい」

 ラビに台所を任せ、俺は階段を上った。


 ドタバタドタバタッ

 
「…………?」

 …………走り回るような音が…………。
 部屋の中で何やってんだあいつ? 運動か?

『め…………よ!』
「…………?」

 しかも何やら奴の声も…………

 モヤシの部屋の前に辿り着いた俺は、一応ドアをノックして前室に入った。そこから中に向かって声を掛ける。

「おいモヤシ、メシ出来てんぞ」
「っあ、神田っ!」
「ひゃんっ!!」

 …………ひゃん?

「…………おい、何やってんだお前」
「ななななな、何でもないですっ!」

 …………怪しさ満載だな…………

「開けるぞ」
「ちょ、ちょっと待ってください!!」


 ガチャ。


 俺がドアを開けると、そこにはベッドの前で荒く息を吐いているモヤシが、モヤシだけがいた。

「ご、ご飯ですね? 今行きますから」
「…………。」

 無言で奴を見詰めると、あいつは顔を背けた。…………何やら後ろめたい事があるらしい。

「何、隠してるんだ?」
「な、何も隠してなんかっ…………」
「きゃんっ」

 …………。

 その声に、俺とモヤシの動きは固まった。モヤシはだらだら冷や汗をかいている。
 溜息を吐いてから、奴の方へ、正しくは声がしたベッドの方へ近寄る。
 モヤシは「あ」とも「う」とも判別つかない謎の声で俺の邪魔をしようと行く手を阻んで来るが、特に気にせずベッドの前に立った。

 此処から声がした。

「…………おい」

 そう、声を掛けると。

「ひゃんっ!」

 いい返事と共に、そいつが顔を出した。

「こっ、こらティムキャンピー! 出てきちゃ…………っ」

 …………蜂蜜に牛乳混ぜたような色合いの子犬が、ベッドの下から顔を覗かせた。


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