「…………、」

 何さこの状況…………。

 アメリカに二日間行っていて、深夜に漸く家に帰ってきて俺が見たもの。それは、リビングの真ん中で正座させられてるアレンと、そのアレンを取り囲んでるクロスとティキだ。
 何処かで見た、心理的外傷を弄くられるその光景にクラリと思わず眩暈を覚えつつ、三人のほうに向かう。

「何? 何さこれどーしたんさ?」

 見ればアレンの頭には既に立派なたんこぶが二個出来ていた。そのアレンは、ざーとらしく泣いている。
 
「「…………」」 
「?、??」
「神田が出てっちゃったんですよぅ…………」
「ええっ!?」

 何で!?
 いやそれよりも、それこんなところでこんなことしてる場合じゃない!!
 早く探し出して…………

「その元凶は」
「お前」
「「だろうがっ!!」」


 ゴッ!!


 ティキとクロスの鉄拳が落ちた。

 …………うわ…………痛そう…………
 いい音だった。
 案の定、アレンが頭を抱えている。
 それにしたって、クロスに殴られるのは割りとしょっちゅうにしてもティキにまで怒られるってのは珍しい。

「ううー…………」
「お前の所為って…………アレン何したんさ?」
「そんな大したことしてないですよ…………」
「「…………」」

 アレンの言葉に俺が、クロスとティキの表情を伺う。…………うん怒っていらっしゃる。
 俺達の不在中に何しでかしたんだか…………

「で、何を?」
「昨日の夜、ちょっとしたSMごっこを」
「…………」

 …………。

「ベッドに縛り付けたりとか…………あ、勿論後が残らないようにハンカチ当ててから縛ったんですよ? それから、ちょっとした言葉攻めと…………玩具は真剣に嫌がられたから結局当てただけで挿れてないですし。後は抜かずに三回しただけで…………」
「もういい解ったからアレン。…………取り合えず…………」

 親指を握りこんでグーを作る。

「俺にも一遍殴らせて?」

 笑顔でそう宣言して、一発拳を落とした。









「でさ、神田どうしようか? 携帯掛けても出ないんだけど…………」

 リビングで蹲ってるアレンは無視して、俺達は顔を突き合わせた。

「そーさ、アレンは放っとくとして…………早く連れ戻さないと」
「…………行く先なんざ予想は着くがな」
「「??」」

 クロスが溜息をついて、煙草を咥えた。

「あいつが気軽に逃げ込める場所なんざそうはねぇ。ホテルに逃げ込むような知恵もねぇだろうな。大方ティエドールの所だろう」
「「ああ…………」」  
 
 言われて納得した。
 ユウが場所も連絡先も知ってて、尚且つ気兼ね無く行ける場所って言ったら普段から誘って来てるティエドールさんのとこ位だろう。
 俺はジャスデビの所も考えたけどよく考えたらあそこにはロードや、ティキのお母さんとその旦那も居るんだから「気軽に」って訳には行かないさ。そしてユウの性格上、迷惑になりそうだと思う所には行かない筈。

「…………が、だとすると面倒だぞ。奴が隠し立てするだろうからな」
「「…………あー、」」

 例えば電話してユウがそっちに行ってるかどうか聞いたって、まともに答えてもらえる可能性は皆無だ。
 ティエドールさんは、出来ればユウと一緒に暮らしたいんだから降って沸いたチャンスを、それが例え一時の物だとしたとしても無駄にはしないんだろう。
 下手すれば海外の別邸に連れて行くかもしれない。

「大人しくくれてやるつもりもねぇがな。…………おいラビ」
「何?」
「どの道この時間だ。大方ユウは寝てるだろう。…………朝一でお前が迎えに行け。バカ正直にアポなんざ取るなよ」
「了解。…………そっちは?」
「…………あの馬鹿はしっかり躾け直す必要があるらしいからな」

 呆れ顔でアレンを見やるクロス。
 …………アレンの行く先を思って俺は心の中でちょっとだけ手を合わせた。
 まぁこれほど「自業自得」って言葉が似合うシチュエーションもないから、あんまり同情はしないんだけどさ。

「取りあえず荷物降ろしてくれば? 俺らはまだ此処にいるけど。ああ、そういう訳だから今夜の夕飯は無いから腹減ってるならどっか食べに行って来いよ」

「…………うん…………」

 …………三日ぶりのユウのごはん、結構期待してたんだけどなぁ…………

 しかしそんな事言ったってしょうがない。
 俺は諦めて、荷物を自室に引き摺っていった。



after days 28

after days 26へ
beautiful daysトップへ  



小説頁へ