「…………ん?」

 体に感じる振動。
 それに違和感を感じて、目が醒めた。

「あ、起きた? 家までもうちょっとあるよ」
「…………ラビ?」

 俺は、…………寝てたのか。ラビに寄りかかって…………。

「…………俺、絵のモデルやってた気がするんだが」
「うん。ティエドールさんが描き終わったみたいだからユウ返してもらった。今度見せてくれるってさ」
「返してもらったって…………」
「ユウ、帰ろう? アレンはきっちりシメといたからさ」
「…………」

 …………流石に、家中に俺がどういう目に遭ったのか知れ渡ってると思うと恥ずかしいな…………。

「ん…………」

 俺が頷くと、ラビは笑った。





「「?」」

 家に帰ってきて、リビング。
 其処は静まり返っていた。
 阿鼻叫喚の地獄絵図的な物を想像していた俺は少し拍子抜けしたさ。
 
 ふと見ると、三人――――――クロス・ティキ・そしてアレンは、リビングの一角にある俺のワークステーションを真面目な顔で見ていた。

「「…………?」」

 ユウと二人、顔を見合わせる。
 何事か、と足音と気配を殺してそっと近づいて――――――
 やや離れた後ろからワークステーションのディスプレイを見た俺達は、固まった。
 
 其処に移っていたのはユウのあられもない格好で――――――

「お、やっぱデータ飛んでなかったじゃん」
「ええ、外部メモリに保存してましたから。本体は駄目になりましたけどマイクロSDは無事だったんですよね」
「ねーそれ後で俺の携帯に回しといて。おかずにするから」
「えー?」

 …………こ れ は 酷 い 。

「…………へぇ」

 ぼそ、とユウが呟いた。

「「!!」」

 その声に気付いたアレンとティキはバッ、と振り向く。クロスだけがさり気無く二人から離れて安全地帯に逃げた。

「データ無事だったって? 良かったなクソモヤシ」


 バキバキバキバキッ


 指の関節を鳴らしながら、ユウがにっこりと、それはもうにっこりと笑った。
 だけど額に浮いてる青筋が、ユウの心中をそのまま表している。

「えっ、あっ、お、お帰りなさいっ神田!」
「いや、これはね? これは違うんだよ?」

 何が違うんさ。

 二人が弁解めいた事を口にすれば口にするだけ、ユウの殺気は大きくなってきた。

「テメェらも――――――」

 ユウが腰に刺した日本刀に手を伸ばした。

「ちょっ…………」
「待っ…………!」
「あの携帯みてぇにしてやろうか!!!!」
「っぎゃー! 待ってユウ待ってユウ! コンピュータは悪くないのコンピュータは違うの! 悪いのはあの二人だから俺のワークステーションぶっ壊すのはやめてー!」
「「うわあああああああっ!!」」
「…………」


 シュボッ


「…………ふう」
「あんた何一人だけ俺は関係無いみたいな顔してるんさー!! ユウを止めて! あんたの息子二人が膾にされる――――――!」


 それから俺とクロス二人掛かりでユウを止めるのに、三時間程掛かった。


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