「お前っ…………何で薔薇っ…………!」

 そこには紅い薔薇を咥えて格好つけたモヤシが映っていた。
 …………これはなんかのギャグか? それとも罰ゲームか?

「その写真、小道具の使用は自由なので。僕の容姿を引き立てるものを選んでみました★」

 いや、選んでみました★ じゃないから。どっちかっつーと笑えるから。
 
「たまにヌードで勝負してくる子もいるさ」

 ヌード…………
 いや、もういい。
 突っ込んだら負けだ。絶対。

 ふと思いついて俺はラビに聞いた。

「お前もやったのか?」
「そりゃ勿論」
「ラビのはオリジナルのネガが学内オークションで結構な金額で落札されましたよねー」
「…………どんなだ?」

 怖い物見たさとはこの事だろう。
 
 モヤシがもう一冊、名簿を取り出した。…………どうでもいいけど持ち歩いてんのか、これ。
 パラパラと捲って…………俺は遂に耐え切れず笑いに肩を震わせた。

「へ? どしたのユウ?」
「何処に笑うポイントが?」

 心底不思議そうな二人を置いてきぼりにして、俺は笑いを堪えるのに必死だ。
 …………名簿に映っているラビは、上半身を学校指定のシャツ一枚で、しかし何故かシャツのボタンを全部外してモデル立ちしていた。
 …………多分本人は真面目にやったんだろうが、笑えるとしか言い様が…………

 しかしそんな俺は、次のモヤシの台詞で硬直した。

「あ、そうだ神田、明日の午前中に神田の撮影の予定がありますからね」
「…………あ?」

 何 だ っ て?

「っ…………て俺もか!? 俺もこんな事やらされんのか!?」
「転入生が来た場合は新しくページ追加して刷り直しって事になってるから」

 当然とばかりにラビが頷く。
 しかし俺は血の気が引いた。
 お、俺もやるのか!? 薔薇を咥えたり服を肌蹴たりっ…………!

「切腹した方がマシだっ…………!」
「…………なーんか失礼な事考えてるっぽいですけどね、神田。別に普通に映ったっていいんですよ」
「そーそー。ユウなら案外何もしない方が映えるかも」
「ほ、本当か?」

 せめてもの救いだ。
 多少気を取り直して俺は名簿を閉じ、モヤシに返した。
 
「あと部活どうします?」
「お、そいやそうさ」
「部活? …………全員必須か?」
「うんにゃ、んな事ないさ」
「でも試しに見学いってみたらどうです?」

 今度はラビが本を取り出した。
 …………しかし一々金掛かってそうな装丁だ…………
 
「うちは伝統的に文化系の部活が強いんさ」

 ラビの説明を聞きながら、俺は最初のページの部活動一覧に目を通した。

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