「あ?」

 俺は思わず上を見上げた。
 そこには、二年と三年の生徒らしき奴らがいた。いたというか、厳密には取り囲まれているような状況だ。
 気配に気づいてはいたんだが、この辺の本棚に用があるんだろうと放っておいた結果がコレか。
 
 …………イイとこの坊ちゃんが多いとは言ったってこういう奴らもいる訳だな。

 ガタイが良いので、多分運動系の部活にでも入ってるんだろうか。
 しかし勧誘…………って感じでもねぇな。この非友好的な雰囲気は。

 …………よくある事だ。

「転入生だな?」

 一人が、俺に向かって問い掛けというより確認という感じで聞いてきた。

「そうだがそれがどうした?」
「「……………………」」

 奴らが目配せし合う。
 …………俺はそれに、すっ、と目を細めた。

「ちょっと付いて来い」
「顔貸せよ」

 勿論はいそうですか、って素直に従う必要など感じていない。
 だが、此処は図書館で、騒いでいいような場所じゃねぇ。
 騒ぐにしても、暴れるにしてももっといい場所があるだろう。

 そこまで俺は考え、取り敢えずは従う為に荷物を持って立ち上がった。









「あれ? なぁジャスデロ、あれ…………」
「ヒヒッ、あれ、今朝ラビとアレンが連れてきてた編入生だねっ、ヒヒッ」
「…………なんか、言っといてやった方がよさそーな感じ?」
「そうだねっ」



 



 緊急を要するという案件を決裁していた俺は、誰かが入室してきた気配に顔を上げた。

「おい、ラビ」
「あん? ジャスデビどしたの?」

 そこにいたのは二年の双子の十字会メンバー(学内報道委員長&副委員長)、デビットとジャスデロ。
 二人で学内一の情報屋であり、この学校内で起こった事なら生徒間の色恋沙汰まで含めて彼らの知らぬ事は無い。

「あれ? アレンは?」
「今授業終わった辺りだろ。…………多分今はちょっと人探しに出てるさ」
「…………それって、今朝お前らが連れてきたとかいう編入生?」
「そーそー。何、そんなに噂になってる?」

 デビットとジャスデロは、顔を見合わせた。

「つーかさ、俺らさっきそいつ見たんだけど」
「そうそう。二、三年の奴らと一緒に居たよ!」
「でさ…………」

 バンッ!!

「ラビッ、大変です! 神田の姿が何処にも…………っ」

 デビットが何かを言い掛けた瞬間、アレンが血相変えてまるで体当たりでもするかのように室内に飛び込んできた。

「…………え?」
「うわ、何だか…………」
「ヤバそうだね、ヒヒッ!」
「え? 何? ジャスデビどういう事?」
「あの編入生囲んでたの、こないだお前がお持ち帰りした一年の親衛隊の奴らだぜ?」
「…………え?」
「ついでに言うと、そっち二人はファンに囲まれてたから気付いて無かっただろうけど、あの一年と編入生、今朝なんか険悪だったよ! 何だかラビを盗ったとか盗ってないとか…………」

 俺とアレンは思わず顔を見合わせた。…………嫌な予感しかしない!

「ジャスデビッ! そいつら何処行った!?」
「え、えーと…………」
「確か第二体育館の方だよっ」

 その言葉に、俺達は走り出した。

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