「…………、」
はぁ、と思わず溜息を付く。
夕飯食って、片付けて、其々の部屋に戻った後。
シャワーを浴びて着替えても、気が紛れない。…………俺には、先程の事がどうにも気になってしょうがなかった。
そもそも人の事情に首を突っ込むような趣味は無い。無いんだが…………あれは。
…………直球に、訊きに行くって訳にもいかねぇしな…………。
「くそっ、何で俺がこんな事考えなきゃなんねーんだよ!!」
誰にとも無しに悪態をついた瞬間、
ガチャッ
「あれ、開いたよ…………無用心じゃない? 神田」
「ティキ?」
「返事無いから勝手に入ってきたんだけど…………風呂だったんだ」
手に缶を二つ持ったティキが、そこにいた。
「今暇?」
「まぁ…………別に」
「んじゃ、ほら」
一つが投げられ、俺はそれを受け取った。
…………冷たい緑茶だ。
「未成年はそれで我慢する事。…………んー」
ティキは何かを探すように視線を彷徨わせ、
「ま、いっか。…………まぁちょっと話があるんだけど」
――――――さっきの事だ。
俺は本能的にそう感じ、ティキを仰いだ。
しかし続いたティキの言葉は、また別のものだった。
「ジャスデビに会ったんだって?」
「…………あ、ああ。…………あいつら、」
お前の弟なのか、と言いたかった。
けれど脳裏に過ぎる先程の空気に、思わず途中で口を閉ざす。
「…………俺相手なら大丈夫だよ。そうそう、あいつら俺の弟なの。似てるっしょ」
ティキは笑いながら、俺の部屋をスタスタ横切ってソファーに座った。
俺はベッドの端に座って、ティキと向かい合う。
「…………少なくとも俺達よりは」
「あー、まーね。基本俺らって全員母親似だし」
「ラビだけは、父上と髪の色同じだな」
若干色合いは違うが、それでも同じ「あか」だ。
しかしそう言うと、ティキは若干言葉を濁した。
「あー…………まぁ、確かにそう言えなくも無いけどね…………」
不穏な調子に、これも地雷なのかと俺は眉根を寄せる。
「ま、それはともかく。やー、出会って直ぐにキスされたって?」
「っ、ゴホッ!! ゲホッ!」
こ、この野郎! 人が折角忘れてたってのに!!
「思い出させんな馬鹿野郎!」
「あっはっは、手癖の悪いオトートでごめんねー」
反省の色なしにカラカラ笑ったティキは、一しきり笑ってから続けた。
「で、どう? 元気だった? 奴ら」
「無駄にな」
俺がそう答えると、
「そっか…………」
安堵したような、穏かな顔でティキが呟いた。
その表情に、俺は訊いてもいいのか悩んでいた事を訊いてみることにした。