「仕方ない、私から紹介するよ。…………彼が長男で大学生のティキ・ミック」
「よろしく」

 今だ席に座ったままの黒い髪の男が軽く手を上げた。
 
「で、赤い髪の子がラビ。高校三年生だよ。その隣の子がアレン君。高校一年生だ」
「ラビっす、よろしく〜」
「…………よろしく」

 へらり、と笑った赤い髪の男と、微笑んではいるものの、何処か冷ややかな、敵意を含んだ目の白い髪のガキ。
 赤い髪の…………ラビが、席を立って俺に近付いてきた。俺の目の前に立ったそいつは遠慮無く俺の頭から爪先まで見回してから、

「へぇ…………『特別』の息子にしちゃー、普通さね。何か予想外」
「…………?」
「ああ、こっちの話さ。えーと、ユウ、だっけ?」
「…………神田だ」
 
 仏頂面で訂正してやると、そいつは一瞬驚いたような顔をしてから笑った。

「あはは、兄弟で苗字呼びはないっしょ」
「…………」

 そりゃ最もだが、俺は譲歩するつもりはなかった。
 
「幾つ? 俺より上? 下?」
「…………十八だ」
「あ、タメ? じゃあ誕生日は? 何月?」
「…………六月」
「お、じゃー俺より上さね。兄貴かぁ」

 そいつは笑いながら言った。

「…………僕もう用ないですよね。…………失礼します」

 と、そこでそれまで沈黙を保っていた白い髪のガキが席を立って、俺達の前をスタスタと歩いて通過していった。

「おーい、アレン、」
「神田でしたっけ? …………僕はアレン・ウォーカー、貴方の弟です。…………よろしく」

 そいつは右腕を差し出した。
 だが俺としては、まるで笑ってない目でそんな事をされれば警戒せざるを得ない。
 無言で何もせずそれを黙殺すると、数秒立ってからそいつは腕を下ろして踵を返した。

「…………お休みなさい、兄さん達」

 パタン、と音がしてドアが閉まる。 

「俺もそろそろ寝るかな、明日一限からだし」

 ティキとかいう奴も席から立ち上がる。
 あのガキと同じように俺の傍までやって来て、肩を竦めた。

「俺はティキだ、…………ま、色々あの親父にはびっくりしたと思うけど。仲良くやろうぜ、兄弟」
「…………よろしく」

 そいつはポン、と俺の頭に手を置いてから手をひらひら振りながら出て行った。
  
「皆俺に面倒ごと押し付けて…………ひどいさー」

 閉まったドアに向かってラビは唇を尖らせてから、俺に向かい直った。

「部屋、案内するから着いてきて?」

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