帰ってきたティキを何故かラビとモヤシが問い詰めに行き(俺はシチューを取り分けてたので何で問い詰めてたのかは知らない)、やがて頭をさすりながらティキがやってきた。

「痛って〜、もう時効だろ…………」
「…………殴られたのか? 氷嚢あるぞ」

 この間モヤシが熱出したときに買ったからな。

「いや、いいや。神田、帰ってくるなり暴力的な弟達に殴られた俺を癒して〜」
「俺にまで殴られたいのか?」
「…………遠慮しとく、神田一番手加減してくんなさそーだし。所で今日の夕飯は?」
「見ての通りだ」

 大量のシチュー入り鍋×3と、大皿に載せられたレタスとスモークサーモンとチーズのサラダ(ラビリクエスト)だ。
 
「早く食べましょうよ、お腹空いたんですから」
 
 戻ってきたモヤシが素早く席に座る。
 その催促に全員が席につき、そして食事を始めた。









 
「…………何かさぁ、初めてだね家で全員揃ってメシ食うなんて」
「そういやそうさね」
「何かちょっと変な感じですよね」

 そうなのか。
 …………家族なのにか?

「…………ユウ、お前が毎日作ってるのか?」
「此処に来た翌日からは。外食は金掛かりますし」
「別に気にしなくても…………」

 お前が言うな。

「別に気にせんでもいい。どこぞの馬鹿息子は車買った挙句速攻廃車にしやがった位だしな」
「あれは不可抗力だよ…………」
「神田、お代わり下さい!」
「お前もう四杯目…………」
「良く食うさね」

 勢い良く差し出された皿に再度山盛りにする。
 …………良く入るよな。

「そういやぁラビ。文化祭の準備は順調か?」
「あー、うん。現役の執行役員は優秀さぁ。俺何もしなくてもどーにかなってるし」
「招待客のリストは上がってるか? 早めに控えをこっちに寄越せ」
「じゃあ明日直ぐ出すさ」

 …………あっという間に、大鍋三つが空になった。
 …………嘘だろ…………。

 明日の朝まで持たせようと思ったんだが…………。

「ラビ、今年の舞踏会はどうする予定?」
「例年通りさ」
「あの一部大好評一部大不評のアレ…………またやるんだ?」
「もう伝統だから」
「ね、所であのクジだけどさ…………」
「おいお前ら洗い物位手伝え!」

 俺はぼそぼそと話し合うティキとラビの首根っこを引っ掴んで台所に連れ戻した。
 
「わっ、わっ、ユウ! 分かったから放して首絞まってる!!」
「ちょ、ちょっと待って待って!!」

 奴らを先に洗い物を始めていたモヤシの所へ連行し、俺は台拭きでテーブルを拭いた。
 と、後ろから頭に触れられて振り向く。

「父上?」
「俺は戻る。まだ仕事があるからな。…………さっきのはあいつらには秘密だぞ?」
「さっきの…………?」

 何の事か分からない。
 ぽかん、と見返すと父上が苦笑顔で、

「分からないならそれでもいい。じゃあな。――――――おやすみ」


 ちゅっ


 そう言いながら父上は俺の額に口付けた。

「わ、…………」

 外人って家族の間でこういう事するの好きなんだな…………。
 ティキも毎朝毎朝抱きついてくるし。
 子供叱る時もあんな事する位だし…………。
 
 父上がそのまま去っていったので俺は洗い場を振り向いた。
 瞬間額に青筋が浮かぶ。

「おお、これすげくね!? 泡こんなに立つんさ!!」
「シャボン玉できますよ!」
「…………はいはい少年達、遊んでると怒られるでしょ?」


「てめぇら…………」

 こ、こいつらガキかっ…………!!

「クソ下らねぇ事してんじゃねぇ――――――!!」
 
 ほんっっっとに退屈しねぇよなこの家は!!
 腹は立つわ奴等の世話で忙しいわ、碌な事がありゃしねぇ!!



 ―――――――だけど、まぁ。



 悪くは、無い。
 

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