「おいおいおい見ろよジャスデロッ!! メロンが900円だって!?」
「嘘、何それ? 何それ!? 桁一個間違ってるかメロンのゼリーとかじゃなくて!?」
「こっちは…………グラム120円? え? 何の肉? …………牛? うっそだー」
「デビ、菓子パン一個80円だって!」
「100個位買う!?」
「…………100個も買って何時食うんだお前ら」

 ジャスデビが大騒ぎしている。
 
「あの二人は正真正銘のお坊ちゃんですからねぇ。こういうスーパー初めてですよ多分」
「…………」

 奴らは走り回り(お前らはガキか)、あらゆる所で品物を見ては「価格破壊だ!」などと騒ぎ立てる。
 …………うるせぇ。
 しかも周囲の目が…………

「おい其処の馬鹿共っ! 静かにするか車に戻るかどっちかにしろっ!!」
「「…………」」


 ピタッ。

 
 俺が怒鳴ると、奴らは唐突に止まった。
 
「…………ったく…………」

 目当ての精肉コーナーで合い挽きの挽肉をもうグラム数すら確認せずに適当に放り込む。
 ショーケースの挽肉全てを籠の中に入れて(積んで、という表現の方が的確かもしれない)、青果コーナーでこれまた野菜を大量に、最後にパン粉と卵を数ダースで買った。
 …………会計に行くと、レジの奴が目を白黒させている。…………そりゃそうだろうな、どう考えても業務用の量だ。

「すっごい量だね」
「モヤシが良く食うからな」
「毎日コレやってんの? ホントご苦労様」
 
 俺達は買い込んだ肉を車に運びいれ(運転手も手伝ってくれる。しかしこんな事させられるとも思ってなかっただろうに)、再び家路を急いだ。


  
 
 

 

「改めて見ると圧巻だなこの量…………」
「モヤシ、手ぇ洗って、肉全部ボールに出しとけ」
「分かりました」

 そう指示して、俺は適当に八つ割にした玉葱をフードプロセッサの中に放り込んでいく。
 …………父上が毎食の用意の手間を見兼ねて買ってくれたのだ。

「神田神田、俺達は何すりゃいい?」
「あー…………じゃあそれが一杯になったらそこのスイッチ押して、細かくなったら炒めるから…………お前らも料理した事ねーんだよな?」
「ないよ!」
「むしろ厨房入ったのが初めてだっつーの」

 よし。火は使わせねぇ。

 …………それから数時間を、俺達は騒がしく――――――時折悲鳴が上がりながら――――――料理に費やした。  
 
 






「ただいまー」
「お帰り。遅かったなラビ」
「もうほんと、ギリギリで出し物変更とかやめて欲しいさ」

 七時近くになり、ラビが帰ってきた。

「ジャスデビは?」
「台所だ。手伝いしてる」
「へぇ。今日は夕飯は?」
「モヤシの希望でハンバーグ」
 
 会話しながら台所へ向かう。

「おーおー、すげぇ事なってるさね」
「あ、ラビ」
「お疲れさーん」
「おうー。ユウ、俺何手伝う?」
「焼けたの皿に乗っけてくから運んでくれ」
「了解」

 忙しく冷めない内にと運びだし、準備が整った頃ティキと父上も帰ってきた。
 …………いつもより二人増えた食卓で、食事が始まった。







「っていうかアレン取りすぎっ!」
「俺らの分まで取るなー!!」

 おお、ジャスデビ大騒ぎ…………。
 うちの基本は「取り分けるようなものは自分の欲しい分を最初に全部取る」だからなぁ。
 そうしないとアレンに全部食われるし。

「おい騒ぐな其処。そんなに食いたきゃくれてやる」

 ユウが呆れたように言って、自分の皿の上のを半分に割ってジャスデビの方へ寄せた。

「わーい、ありがとっ」
「いいのか?」
「俺、そんなにいらねぇ」

 …………相変わらずうちの食事時間は短い。
 あっという間に空っぽになった食器類を片付け(させ)て、ユウがリビングにお湯を出した。

「飲みたきゃ勝手に淹れろ。あと菓子は其処だ」

 ついでにティーポットも置いていった。
 
「あれ? 神田部屋戻るの?」

 お茶の支度だけして二階へ上がり始めたユウに、ジャスデロが声を掛ける。

「服に油跳んだ。ちょっと風呂入ってくる」 
「いってらっしゃーい」



 そしてユウがいなくなった。

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