「…………ってゆーかさぁ」
「何あれ?」

 アレンとデビットが台詞を分担しながら呟いた。

「あいつ変なトコで道徳観念強いからなぁ…………リビドー変な方向捻じ曲がっちゃってるんだろーなー」
「ふぅん?」
「ああやって自分に言い聞かせてるんだろ。『兄弟だから好きになっちゃいけない』『欲情するなんて以ての外』って。――――――認めりゃいーもんを。自分だって神田に惚れてるんだって」
「それが認められねぇのがラビだろ」
「ヘタレだ」
「馬鹿だね」
「頭イイのにね」
「「「でもそれがラビだな」」」

 中々散々な意見の一致だが、俺達は肯き合い、

「神田が風呂上がったら第二回ラビを玩具にしよう大会?」
「次は過去の男関係でつつくといいよ!!」
「お前ら鬼畜だな」

 我ながらスバラシイオトート達だ。
 ソファーの上で足をブラブラ揺らす二人が、

「っつーかお前らだってそうだろ。ラビからかいすぎ」
「そうそう」
「現実で神田が裸で寝ててさ、周り誰もいなかったとしても別にお前らだって襲ったりはしねぇんだろ?」
「どっちかっていうと風邪引かないようにって毛布掛けたりするんでしょ!」

 …………そりゃ、そうだ。

「そりゃー神田相手に無理矢理はねぇわ」
「例えば神田も望んでくれたらそりゃ喜んでしますよ? それこそ朝から晩まで」
「アレン、それじゃ死ぬだろ神田」
「そうですか?」
「結局の所ラビの心配って杞憂でしかねぇわな」
「早く気付けばいーのにねっ! あのままじゃストレスでハゲるよ!!」
「やべぇ、それ超見てみたいんだけど!!」

 ジャスデビがギャハハハハ、と笑い声が上げる。
 アレンも面白かったのか、それでも何とか声を上げる事だけは耐えながらも肩を笑いに震わせていた。
 
「…………しっかし、そのラビがいなくなっちまうと暇だよな」
「何か見る?」
「何か持ってきてるんですか?」
「AVとか」
「…………別に見るのはいいですけどそれ神田に見られたときにどう弁解するんですか?」
「…………やめとくか」
「神田は何見るの?」
「こないだ僕が恋愛物のDVD見るのに誘った時開始十分で寝ましたよあの人」

 …………だろーなー…………

「まぁ後半ベッドシーンあったんで良かったですけどね」
「いいのかよ」
「大体僕も神田の寝顔見てたから見てませんし」
「…………おーい」
「いくら神田だってさぁ…………十八の男だろーに」
「そもそも映画好きかは分かんないけど、神田なら多分アクション物好きなんじゃない? 頭使わないで見れるような奴」
「お前失礼だろティキ」

 だって前、あいつ「映画は登場人物が最後まで把握しきれないから嫌いだ。巻き戻せないし」とか言ってたぞ…………?

「…………つーか遅くね? 神田」
「こんなに長風呂なの?」
「いや、こんなには…………」

 何気に神田が部屋に戻ってから一時間近くが経過しようとしている。(俺達だけで片付けると、指揮する人間がいないのでやたらと遅くなるからだ)
 …………ふむ?

「ラビが様子見に行ってるし、倒れてたりする事はないとは思うんですけど」
「まーね」
「むしろそのラビに押し倒されてたりしてね」
「ははは、まさかー」
「…………まさかー」
「「「「「…………」」」」」

 俺達の間に一気に気まずい沈黙が落ちた。俺達は誰からとも無く、伺うように目を合わせる。

「…………おい」
「何?」
「無い、って言い切れるか?」
「無理」
 
 短いやり取りの後。
 俺達は一斉に立ち上がった。

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