それから俺達は遅めの朝食をとって(俺も作るの手伝った)、のんびりと俺の部屋でテレビを見たりしてダラダラ過ごした。
 そして夕方になり、最初に帰ってきたのはティキだった。 

「たっだいまー」
「あ、ティキお帰りー」
「よう、ラビ。神田とはちょっとは進展したか?」

 …………この兄貴は…………
 酒でも入ってるんさ?

「何もしてないさ(っていうのは嘘だけど)。大体、――――――俺とユウの仲が進展してたら困るのはティキだって一緒さ?」
「――――――、」

 ティキが僅かに目を見張って――――――ニヤリ、と笑った。

「その様子じゃ色々覚悟完了って事? ――――――そんな上等言っちゃうなら、俺も参戦させてもらおうかな」
「――――――望む所さ」
 
 俺達は視線を交わして――――――小さく笑い合った。 

 そしてそんなある意味不敵な様子を見せたティキは。





「ごめんなさい神田様どうかお力をお貸しください」

 …………今現在ユウの目の前で土下座していた。

「…………」

 っていうか何? 何さ? 
 ユウが点目になってるさ。俺も全然話見えないし。
 夕飯を作っている途中だったユウは、エプロンにおたまを持ったままの姿勢で固まっている。

「おい、ラビ、」

 ユウが助けを求めるような顔でこっちを見た。
 …………ごめんユウ、そんな可愛い顔で見られても俺も何が何だか…………

「…………おいティキ、何の事だ?」
「話すから協力してくれる?」
「…………」

 あ、ユウ頷いたらっ…………

 その瞬間ティキが顔を跳ね上げた。其処に広がる満面の笑みに俺は嫌な予感を感じ、ユウも何やら嫌な予感がするのか、若干後退りながらティキを見る。

「とりあえず、何も言わずに…………明日俺と来て」
「お、おう?」
「ユ、ユウなんか其れ嫌な予感しかしないんだけど!」

 俺の叫びも虚しく――――――明日ユウはティキと何処かに出掛ける事なった…………。







「ええ? 明日出掛けちゃうんですか?」

 …………帰ってきたモヤシがソファーの上で足をバタつかせながら不満そうに口を尖らす。
 …………だから、行儀が…………

「ごめんね、ちょっと神田借りてくわ」

 俺はモノか。

「無傷で返してくださいね? 何かしたらバリカンで頭剃った上で脱毛剤擦り込みますよ?
「「「…………」」」

 モヤシって結構エゲつねぇ事平気で言うよな…………。
 つーか大体お前のもんじゃねえし。

「でもまぁ去勢されるよりはマシさね」

 ラビが乾いた声で笑う。去勢って、おい。

「僕もついてっちゃ駄目なんですか?」
「一応ミックの家の集まりだからね、お前さんが来ると五月蝿い親戚がいるんだよ」
 
 それはまぁ、俺にも分かる気がした。
 きっとその親戚とかいう奴等からは、父上なんて出入り禁止にしたい位嫌われてるんだろうな…………。

「っていうかさティキ、何の集まりなんさ?」

 そうだ、そういえば聞いてなかった。

 ティキの頼みとは、俺に明日あるミック家の集まりとやらに同行して欲しいという奴だった。
 本家で開催され、親戚筋が相当数来るらしい。
 モヤシが駄目でなんで俺が、と思わなくも無いが、多分俺は此処に来て日が浅いから顔が割れてないとか、そんな理由だろう。多分。

 …………ラビの言葉に、何処か不満そうな顔をしたティキは、放り出すように答えた。

「一応表向きはただの茶会」
「じゃあ裏は?」
「――――――俺の嫁さん選び」
「「「…………」」」

 ――――――その言葉に、俺達は顔を見合わせた。

「ティキ、結婚するんですか」
「しないよ、ってかしたくないよこの歳で。まだまだ俺は気楽な独身生活を謳歌するつもりなんだから」
「おめでとさんティキ、可愛い嫁さんと可愛い子供一杯作るといいさ」
「おいおいラビ俺に何か恨みでもあんの?」
「――――――つーか、そこに俺を連れてってどうするつもりなんだ?」

 代わりに結婚しろってか?
 …………無茶言うな。

「そうですよ、何でそんなとこに神田連れてくんですか?」
「…………それは明日のお楽しみって奴?」
「「「??」」」

 そう、この時俺は忘れていた。

 ティキは、あの、こないだとんでもないことをしやがったあのジャスデビの――――――兄貴だという事を。

83へ
81へ

beautiful daysトップへ  



小説頁へ