ピチチチチ、チュンチュン…………
家の庭の樹に来ている小鳥の鳴き声がする。
あれは早く餌寄越せという声だろう。
いつも通りの時間に寝ていつも通りの時間の筈なのに、妙に重たい瞼。
目が覚めた。
「…………う、?」
筈なのに、何故か焦点が合わない。―――――――喉が妙に痛くて、乾いている。
「?」
身体を起こすも、力が入らない。膝や肘が力が入らなくてガクガクする。
…………くそ、何だ?
無理矢理に足を床につけて立ち上がる。―――――――が、数歩歩いた辺りで、
「―――――――!!」
俺は無様にも、床に転がり―――――――意識を、手放した…………。
コンコンッ
「おーい、神田ー?」
「? 何やってんのティキ?」
「お、おはようラビ。…………神田がいないんだよねぇ」
「…………ユウが?」
ユウはこの家の誰よりも朝が早い。五時頃に目を覚まし、剣道の練習をして、それから俺達の朝飯を作ってくれている。
一方俺とアレンはいつもどちらが最後だ、っつー位で…………
その俺が目を覚ましたのにユウがいないってのは、珍しい事さ。
ガチャッ
「お早うございます、…………何やってるんですか?」
丁度時同じくして目を覚ましたらしいアレンが、自室から出てきてユウの部屋の前でたむろする俺達に不思議そうな顔をする。
「それがさぁ、神田がいないんだよね」
「…………寝坊してるんですかね?」
言いながらアレンがユウの部屋のドアをあっさり開けて中に入っていく。アレン、あとで「遠慮」「プライバシー」って意味辞書で引くさ。
「―――――――っ!!」
だけど先行するアレンについていった俺達は、―――――――寝室のドアを開けたアレンが、声にならない悲鳴を上げたのにはっ、とした。
「神田っ!!」
言いながら駆け込んでいくアレンの後ろから俺達が目にしたもの。
それは床の上に身体を投げ出している、ユウの姿だった。
「神田っ、神田しっかりして下さい!! どうしたんですか!?」
「アレン、揺さぶっちゃ駄目さ!!」
「!」
鋭く声を掛けるとアレンの動きがびくっ、と止まる。
倒れた原因も分からないのに強く揺さぶるのは危険だ。
「…………っ」
ティキがそっとユウの顔を覗き込んだ。
頬に触れ、そこから白い喉に触れる。
―――――――そして、溜息をついた。
「ラビ」
「ティキ、」
「医者呼んで。…………大丈夫だよアレン、多分熱の所為だ。風邪かな?」
言いながらティキはユウを抱き上げて、
「アレン、そこ捲って」
ベッドの中に戻した。
「風、邪? ですか?」
「そう、多分だけどね。…………でも結構熱あるな、これ」
渋い顔でユウの額に手を置いてからティキが振り向く。
「ラビは下の電話帳で医者に連絡! アレンはキッチンから氷嚢! さぁ動いた動いた」
パンパン、とティキが手を叩き、その音に従い俺達は動き出した。