※性描写はないけど朝チュン注意※


「…………ん、」

 …………。

「…………あ、れ」

 此処、何処だっけ?
 見上げた天井が随分高い。
 暫く考えて、それから。

 あぁ、そういや泊まったんだった。

 素肌がシーツに直接触れていて落ち着かない。そろそろと半身を起こし、ベッド近くのデジタル表示の時計を見る。いつも起きる時間よりは大分遅い。
 夜が遅かったから起きられなかったんだろう。

 …………つーかあいつは何処行った。

 広いベッドには俺一人で寝てたらしく、少し離れた所を触ると既に冷たい。

「…………、」

 続き部屋だから、こっちじゃない方の部屋にいるかも知れない。
 探そう、と立ち上がろうとした瞬間。

「――――――っ!」

 いっ…………てぇ!
 ズシン、って来たぞ今!

 涙目になりながら布団を剥ぐ。と、だ。

「どうすんだよこれ…………」

 シーツに幾つか残る、褐色になった血の跡に溜息を付いた。これ、このままじゃまずいよな…………。洗えば取れるか?
 シーツをマットから引き剥がそうと格闘していると、


 ガチャ。


「起きたか?」
「! っ、入ってくるなー!」

 まだ服着てない!

 近くにあった枕を投げつけて、慌てて剥がしていたシーツで前を覆った。
 居ないと思って油断してた!!

「何やってんだお前は」

 顔を狙った枕は容易く受け止められて、クロスは俺を面白そうに見る。その余裕綽々な態度が気に入らなくて、俺は傍にあったもう一つの枕も投げつけてやった。
 …………あんな恥ずかしい事を人にしておいて、よくも何も無かったような顔が出来るもんだな!?

「今更恥ずかしがる事か? 昨日散々見せただろう」
「お前が勝手に見たんだろ!!」

 俺は電気消せって言ったのに! この野郎全然聞き入れやしなかった!

「心配しなくとも隠さなきゃならんほど貧相な体じゃないぞお前は」
「んな問題じゃねぇぇぇぇぇ!」

 第一誰と比べてんだよ! ブロンドの前の女となんか比べんなよ!? 勝ち目なんて絶対無いんだからな!
 …………俺がどんなに怒っても出て行く気配がまるでないので、諦めて布団を胸まで引き上げてそれ以上見られないようにする。

「…………どーすんだよ。シーツに血が付いちまった」
「ほっとけ。クリーニングでどうにかするだろ」
「アホか!」

 此処のスタッフがどんな顔するか…………二度と来ないところ、って訳でもねぇのに!

「んなもん一々気にしねぇ」
「お前はな」

 俺は恥ずかしいぞ。それこそ顔から火でも吹けるんじゃねぇかってくらいにな。

「…………もういいからちょっと出てけよ。着替えたい」
「今更何を遠慮してる」
「だから! 遠慮してるんじゃなくて俺が恥ずかしいんだよ!」

 まるで理解出来ない、そんな顔をしているアイツに投げつけるものがそれ以上なくて悔しい。

「どうでもいいがお前の服、向こうじゃねぇのか?」
「あ゛」

 泊まるなんて思ってなかった俺は昨日着ていた服しかない。
 その服はシャワーを浴びる前に脱いだから、シャワールームの中だろう。
 じゃあその後着てたバスローブは…………と捜すと丁度それはクロスが立っている直ぐ傍に落ちていた。床の上に。

「…………」

 それを剥ぎ取られて放り投げられた下りを思い出すと真剣に恥ずかしくて泣けてくる。
 あいつ実はとんでもない変態野郎なんじゃないだろうか…………。変態なのは知ってたけどあんな事までするか普通?

「俺を変質者扱いすんな。お前が純粋培養過ぎるだけだろ」

 考えてた事は読まれていたのか、クロスが溜息を付いて肩を竦めた。

「まぁいい、着替えるならこっちに来い。着替えもある」
「何でだ」
「お前の保護者が置いて行った」

 伯母さん…………。
 クロスに渡したモノといい、着替えといい…………。
 家族公認でこんな事するなんて…………。

「…………」
「俺が言うのも何だが、お前の伯母は相当変わり者だな」
「お前が言うな…………」







 シャワーを浴びて着替えて、それからちょっと水で洗ったらシーツの染みは落ちた。
 それから朝食を食べにレストランに行って(正直食事の気分じゃなかった、腹いてぇし。腹っていうか、まぁ…………兎も角痛い)、ホテルからチェックアウトした。
 直ぐに家に帰るか聞かれたが、正直伯母さんは兎も角伯父さんと顔を合わすのが余りにも気まずくて(この時間伯父さんは家にいるだろうけどクロスは全然平気そうだ、気になんてしないんだろう)、少しクロスの家で休んで行くことにした。


 だが忘れていたがそこにはアレンがいて、妙に優しい目で色々気遣ってくるので家に帰れば良かった…………と真剣に後悔した。



 妙な事をされたわけではなく神田が過剰反応してるだけ。おもしろがられてる。
 因みに渡された物=避妊具。

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