ユウの気が変わらない内にと早速ブランケットを引っぺがす。ころりとシーツの上へ転がり出たユウは心もとなそうな表情だ。
嬉々としてユウのTシャツに手をかけると眉根を少し寄せて、困ったような顔をしている。
「はい、ユウバンザイして?」
「…………」
応じておずおずとユウが手を上げる。スポンと引き抜いて、ベッドの端っこに放り投げた。暑い時期だから他に余分な物は無くブラ一つだ。
見下ろして今日は水色ね、と頷く。ユウは変わらずボーイッシュな格好を好む。その割には、下着の趣味は結構可愛らしい。
「かわいー」
思春期に晒しで潰してた所為もあるのかそんなに大きくはない。けど、元が長身スレンダー系だからバランスが良く見える。本人にとっては高い身長と並んでコンプレックスになってるみたいだけど、そんなん気にする必要ないのに、と何時も思う。確かにこっちの女の子達は大体「ボン・キュッ・ボン」か「ボン・ボン・ボン」のどちらか、っていうのが多いけど。
「っ、」
下から持ち上げるように触るとユウが息を呑んだ。ふにゅふにゅじゃなくて、ハリがあってまだ硬い位だ。その内ふにゅふにゅになる位一杯触って育ててみようと密かに決心する。
調子に乗って背中とベッドの間に手を入れてホックを外す。と、ユウに睨まれた。
「下着までっつっただろ」
「…………はい」
ちぇっ。
仕方ないからユウのベルトに手をかける。外して、デニムを膝まで引き下ろした。反射的に足を硬く閉じたユウの膝を宥める為に軽く撫でる。
ブラと同色の布地をちら、と見下ろした。頬を紅くしたユウは視線を外してベッドの横を見ている。
…………触ったら怒るかなぁ…………。
手足が飛んでくるのは多少覚悟の上で、足の間に手を差し込んでみた。
「!!」
びくりと震えたユウは一瞬俺に非難するような眼差しを向けて、それからまた目を逸らした。
上とは違う反応に、上体を倒して耳元で囁いてみる。
「こっちは嫌なんさ?」
「くすぐったい。変な感じがする。…………早く止めろ!!」
「いででででユウ締め付けんの止めて!!」
悪戯した俺の手を思いっきり足で締め付けてきたユウは俺が悲鳴を上げると少しだけ力を弱めた。
折られるかと思った…………。
舌打ちしたユウは視線を逸らしたまま、投げやりに言った。
「何かするんだろ。さっさと終わらせろよ」
頷くんじゃなかった!!
俺はたった数分前の事を真剣に後悔していた。
空気が異様で今すぐ逃げ出したい。息を荒くしたラビが手元で「何」をしているかなんて見れなかった。――――――さっき一度視界に入った時本当に驚いたんだ、何だアレ!?
逃げたい逃げたい今すぐ逃げ出したい!! 背中を見せるのは武人の恥? 知るか!! そんな余裕ぶっこいてられるか!!
時折何かを確かめるみたいに弱く胸を触られる度に背中にゾクリと何かが這った。恐怖、とは違う気がするそれが何なのか、知るのが怖い。
今まで何とも思わなかった視線の行く先にすら反応しそうになる。見られてる、気がする所から火が出そうなほどに熱い。
ズボンを半分脱がされた、はしたない格好のまま膝を折られている。足の間にラビが居て片膝を掴まれているから伸ばすことも出来ない。何処を晒しているのか考えてしまったら顔からも火を噴きそうだ。
――――――あぁ、もう早く終われよっ!
「っ、」
「!?」
人の耳元で切羽詰ったような呻き声を漏らしたラビが首の辺りに顔を埋めてきた。首筋を柔らかく吸われて一瞬息が止まる。触れている舌先が首筋を通って、耳へ。
湿った音を立てながら甘く噛まれ、身体の何処かがじわり、と疼いた。
波のように襲ってくる物に流されまいと唇を噛み締める。
「あー…………気持ちいー、」
人が必死なのにそんな事を口走ったラビの事は後でぶん殴ってやると心に決める。いい気なもんだなこの野郎!!
「も、やめ、ろっ、」
怒鳴ってやりたかったのに怒鳴り声にならない。情けない声が出ただけだ、畜生!
悔しく思いながら口の端を噛んで――――――襲ってくる不穏な気配に耐えた。
・ ・ ・ ・
「…………」
ユウはただいま大変ご立腹です。俺は頬を引っ叩かれました。ヒリヒリします。
うん、まぁ、あれだ。調子に乗った。やりすぎたのは認めるさ。因みに最後までヤッちゃったって訳じゃない。但しユウのお父さんにバレた日にはぶっ殺されるのは確実だ。
ユウはシーツの中に隠れながらも怒りのオーラは隠せていない。
「ねーユウ、出てきてってば」
「…………見るだけっつったよなお前」
「…………ハイ」
でも、止まんなくなった。数年に渡る禁欲生活から開放された気がして、ついつい…………
顔だけ出したユウは俺を睨んだ。目尻がほんの少し潤んでいる。
「お前の「だけ」はもう信用しねぇ!!」
「えっ」
「二度とさせねーからな馬鹿!!」
噛み付く勢いのユウを宥めながら、俺はいかにして「次」に持ち込むかそればかり考えていた。