コムイに呼び出された日から今日で丁度一週間。
意外な程に俺は穏やかに日々を暮らしていた。念の為にと下校は必ず人の多い時間帯するようにして、それからついでに竹刀で武装してみているが全く使うような場面は無い。いっそ拍子抜けする程だろう。
他校の奴らの影は見えず、下級生に絡まれることもなく、そして同級生の濡れ場を目撃させられる事も無い日々は全く持って平穏無事だ。
ちらほら聞く所によれば、あの赤毛の回復は順調で予定よりも早く退院するだろうとの事だった。俺には関係ないが。
そういやあの一年と二年、結局討ち入り行ったのか?
そんな話は聞かないが…………
つらつらそんな事をさて考えながらも帰ろうと昇降口へ向かうと、そこに見たことのある目立つ頭の奴がいた。
あの金髪…………、いつも黒いのと一緒にいた奴じゃねぇか。
周囲を伺う様に見回しながら、小走りに昇降口から出て行く。
…………何となく、あの黒いのといつも一緒にいたイメージがあるから一人で見るのは珍しい気がした。
呼び出された後も、学内で何度か見かけるたびにあの黒い方がいつも傍に居たからだ。
「…………?」
校門前には、見たことのある格好の奴ら…………黒の詰襟の、東校の奴らがいた。
金髪はそいつらに向かって駆けていく。
何だ?
ぼーっと見ていると、金髪は黒詰襟に何かを言い募り――――――、
「!!」
殴られて、崩れ落ちた。
地面に崩れ落ちた金髪の腕を二人が無理矢理引っ張って、そして丁度タイミングよく滑り込んできたやたら車高の低い車の中に連れ込んだ!
「まっ…………」
待て、と叫ぼうとしたのにうまく行かない。
車は直ぐにその場にいた奴らを呑み込むと発進してしまった。
「な…………」
目の前での誘拐にしか見えない事実に俺は呆然とする。
どういうことだ。この国は法治国家じゃねぇのか。高校生が誘拐だと? いやそれよりも!
「っ、」
あの二人は二年だった筈だ。
俺は鞄を放り出して、二年の校舎に向かって駆け出した。
「…………っ!」
いた!!
三階の廊下を走って手当たり次第に教室に顔を突っ込んでいた俺は(何故なら俺は奴らの学年は知っていてもクラスは知らないからだ)外の庭を走っている黒髪と、それから白髪を見つけた!
手近な窓を開けて、下に向かって叫ぶ。
周囲がぎょっとした顔で俺を見たことはこの際見なかったことにした。
「おい、止まれ! そこの色黒とモヤシの二人組!!」
「「!!??」」
俺がそう怒鳴ると、奴らは立ち止まり声は何処から掛けられたのかと探すような感じで辺りを見回し、そして三階にいる俺に気付いたらしくこっちを見上げてきた。
黒髪の方は露骨にこっちを睨んでいる。
この様子では奴らが俺が一階に下りるまで待っているとはとても思えない。
それなら、
俺が窓に足を掛けると周囲が悲鳴らしい声を上げた。細かい事は気にしない事とする。
下にいた二人も、ぎょっとした顔をしている。
着地地点に人影も障害物も無い事を確認して、俺は――――――窓枠を蹴った。