「「「「「あ」」」」」
購買の前。
俺達は同時に間の抜けた声を上げた。
今日は弁当は無し。少し寝坊したからだ。
何か適当にパンでも…………そう思って来た所。
馬鹿×4が、いた。
「神田〜!」
ドンッ
「うぉっ!」
ジャスデロのタックルを受けて思わずその衝撃に声が出た。
「ああ、一昨日大丈夫でした?」
「大丈夫の意味を図りかねるが取り合えず制服は乾いてる」
借りていた制服は今朝第一保健室に返しに行った。
…………その時に奴の姿が見えなかったからどうしたかと思ったが、もう治ってたのか。
「水ぶっ掛けられたんだって? ご愁傷様」
ラビはそういうと俺に対して拝むかのように両手を合わせた。
「なー、何食うんだ?」
「何でもいい。適当な奴」
「焼きそばパンにしろよ。んで半分寄越せ」
「お前自分のは…………」
「焼きそばとスパゲッティと悩んでスパゲッティにしたんだよ。こっち半分やるから、二種類食えたらお得な気するだろ?」
「…………まぁ、別にいいけどな」
というか一緒に食うのは決定事項なのか。
「早く買って、上行こっ!」
「あー、いい天気…………つか暑ぃ」
「そろそろ図書館でメシ食うようにする?」
季節は間も無く「夏」だ。
確かに炎天下、こんな屋上でメシ食う気にはなれねぇ。
「はー、暑。脱いどこ」
そう言いながら四人はブレザーを脱ぎ捨てて、ワイシャツの袖を捲った。
俺も脱ごうか…………思って止めた。今日は下はワイシャツ一枚。この明るい外では下着が透けて見える。
…………俺、夏服になったらどうするんだ?
…………くそ。
思わず四人を睨むと、奴らは「?」という顔をした。
畜生人の気も知らねぇで…………!
「神田神田、」
と、物陰の辺りにいたジャスデロが俺を呼んだ。
「こっち。影になってて涼しいよ」
「…………本当だ」
「ね! ヒヒッ!」
建物の影の部分は、日が遮られている為かその下のコンクリートもひんやりとしていて心地よい。
「脱げばいいじゃん。変な奴」
悪かったな。
「そういえばラビ、三年の臨海学習。出るですか?」
「あー、うん。一、二年でサボったらさ、流石に今回出ないと体育の単位出せないって。面倒さぁ。俺泳げるんだからいーじゃん」
「それってやっぱり僕も出ないと不味いんですかねー。なるべくならパスしたいんですけど。あれって学校のプライベートビーチでやるんですよね?」
モヤシとラビの会話を、ぼんやり聞き流し…………
…………待て?
「臨海学習…………?」
何だその、嫌な予感しかしないイベント。
「再来週から、学年ごと一週ずつずらしてやるんだよっ!」
「態々此処から車で片道二時間掛けてビーチまで行くんだぜ? しかも一泊二日。マジでタリィよな〜。俺ジャスデロがいなかったら死ぬわそんなイベント」
「ね!!」
「な!!」
「ちょっと。一人の僕の前でその発言、酷いと思わないんですか貴方達」
「いーじゃん。お前外面いいからクラスでそんなに浮いてる訳じゃねーんだろー?」
…………臨海学習。
臨海学習って事は、水泳だよな。
って事は…………水着…………
いやいやいや色んな意味で無理だ! 駄目だ!!
この場合どうするんだ? コムイにでも聞くしか…………
欠席の場合はやっぱマラソンとかか?
でもその方がマシでは…………
「ラビもいーですよね、今回神田いるし」
「ま、退屈はしないさね」
「…………」
「あ、ユウ。ユウ俺と同室だから宜しく」
「何時決まったよんな事!!」
「コムイがさっき俺に伝えに来たんさ。多分逃げるなよって意味でもあるんだろうけど」
…………おい。俺にどうしろと…………。
まぁ、なるようにしかならねーんだろうな…………。
思わず遠い目になった、そんな初夏のある午後。
小説頁へ