「? 何でだ?」
「ラビん家快適だぜ? 涼しいし、広いし」
「夏の間はいつも行ってるんだよ! ヒヒッ!」
「家族は…………ああ、一人暮らしだったなお前」
「そーそー。うち来て遊ぶさぁ」
…………ふむ。
冷房付きにはちょっと心惹かれる。
惹かれる、が。
「ついでにラビに勉強見てもらえばいいんじゃないですか?」
「勉強って…………別に…………」
こいつに教えて貰うようなことは…………
「全教科学年主席のラビセンセーにイロイロ教えてもらえよ、バ神田」
何だと!?
「他人の事言えるんですかー? デビット。ねぇ? ジャスデロ」
「う、うん」
「下から数えて三番目だっけ?」
…………おい…………。俺と大差ねぇじゃねぇか。
「つか、お前もさ。アレン」
「ええ僕は心の底から勉強苦手です。でも大丈夫です! 学なんて無くとも社交術で世の中渡ってく所存ですから」
…………。
まぁモヤシならそれもありだろうな…………。そう思わせるってのも、実は凄いのか知れないが。
確かに、まぁ…………色々魅力的ではあるのかも知れない。
だがしかし。
幾らなんでも同じ屋根の下ってのは、色々問題がある。四六時中こいつらと一緒? バレるだろ下手打てば。
無理だ、とそう断ろうとした瞬間ラビが口を開いた。
「さっきユウのバーサンにも言ったんさぁ。ユウはうちに遊びに来るって」
「!」
おいこら待て!
「誰が言ったよんな事!!」
「誰も言ってないけど俺達が決めた。な〜?」
「「な!」
な! じゃねぇだろうが。
モヤシとデビットが親指をぐっ、と突き出した。
ジャスデロだけが両手を合わせて頭を小さく下げる。
どういう展開だったか、大体予想がつく…………。
大体祖母様も祖母様だ、何で頷く! こいつら男だぞ!? 俺が一応女だって忘れてるのか? それともそれでもいいと思ってるのか?
どっち道駄目だろうそれは。
…………だが。
多分今頃嬉々として俺の荷物をバッグに詰めているであろう祖母様に、今更何を言っても無駄だろう…………。
盛大に溜息をついてから、俺は一つ頷いた。
翌朝。
肌が焼け付きそうな暑さの中俺は駅前の広場でぼんやりと周囲を見ていた。
陽炎が見える。
「…………、暑ぃ」
隣にはボストンバッグ。
昨日は時間が時間、と帰っていった奴らは今日俺を迎えに此処まで来るらしい。らしい、というのは夜も更けた頃に掛かってきた謎のハイテンションの電話でそう言われたから正直何処まで本気か分からない。これで来なかったら奴ら夏休み明けにぶん殴ってやる。
だがそんな俺の心配は杞憂だったようで、約束の九時半には遠目に目立つ黒+金+白+赤が見えた。何て目立つ奴らなんだ。
「おーっす」
「神田顔死んでるよ?」
「暑いんだよ」
「うち着いたら何か飲むさ。行こ」
ラビに促され、俺はだるい体を叱咤して立ち上がった。
小説頁へ