夕飯は、ファミレスで食った。
 アレンの量に目を白黒させてるウェイトレスのお姉さんが面白くて眺めていたら、何故か正面のユウが複雑そうな顔をしてた。理由は知らない。
 家に帰ってきて、順番にシャワーを浴びる。
 一番最初に入ったユウと入れ替わりになってシャワーを浴びて、戻ってきた頃。

「あれ? 寝ちゃってんの?」

 早くない?
 まだ十時だ。
 しかも此処はリビングのソファー。薄手のブランケットを被り、少しだけ体を折り曲げてこっちを向いて眠っている。
 確かにベッドは足りないから其処で寝ることにはなるけど…………
 

「眠い、つって転がってそのままおねんね。寝つきいいよなー」

 感心したようにデビットがいい、ユウの頬を指でつついた。しかし目覚める様子は無い。

「ヒッ! じゃあ次、デロ行って来るっ!」
「ハイハイ、行ってらっしゃい」

 俺と入れ替わりになる形で今度はジャスデロが姿を消した。

「なーんか面白いのありませんかねー」

 アレンが言いながらテレビの電源を入れた。
 番組を一通り映し出してから溜息を漏らす。

「持ってきたのも大体見ちまったしなぁ」

 持ってきたもの=エロビだ。

「明日辺りなんか借りてくる?」
「そうしようぜ。…………ってラビ何一人でイイもの飲んでるんだよ」
「欲しきゃどーぞ。冷蔵庫の野菜室にあるから」

 イイもんつっても、ただの缶ビールだ。
 恒例の風呂上りの一杯。…………飲んだら五月蝿そうなのが寝ててくれて良かったと思うべきか。

「よっし貰った! あー、でも風呂上りにしとくかな俺」
「その方が美味い気するもんな」

 ビールを自分でお預けにしたデビットは手持ち無沙汰な顔をして(相方もいないことだ)暫く部屋を見回してから、ソファーの上で眠るユウに目を向ける。

「それにしても、神田ってマジ女みてぇ。睫バシバシだし」

 デビットは眠るユウの顔の辺りを覗き込んで言った。

「まー確かに。街中で擦れ違っても普通に女性だと思いますよね。うっかりナンパするかも」

 アレンがそう言って頷く。

 くぅくぅと寝息を立てて眠るユウは俺達の話し声にも目覚める気配は無い。
 さらり、と黒い髪が頬に掛かった。

「…………本当に男なんだよな?」
「そりゃそうでしょう、僕神田の学生証見たこと有りますよ。ちゃんと男って載ってましたし」

 大体そもそも男の制服着てるしね。

「ちょっと剥いてみっか?」
「え?」
「この顔でどんなもんぶら下げてんのかちょっと見てみてぇ」
「あ! それ面白そうですね!」

 デビットの発案にアレンが顔を輝かせた。

「ユウが目ぇ醒ましたらお前らぶん殴られるさ?」
「大丈夫です、僕力強いし」

 昼間殴り飛ばされてたのは誰さ。

「おいアレン、腹の辺りでも押さえとけよ。起きられてぶん殴られるのやだしな」
「はいはい、分かりましたよ…………っと」

 言うなりアレンはユウの腹を膝ではさむような形で膝立ちした。

「よい…………せっと」

 デビットがユウからブランケットを取り上げる。

「…………ん、ぅ、」

 体感温度が下がった所為かユウが、もぞりと動いて小さく呻いた。

「…………」

 …………って、あれ? 何か俺、喉渇いて…………

「? 何だこの匂い、」
「…………? ああ、此処のシャンプーでしょう」
「これって、こんなに甘い匂いだったっけか?」
「さぁ…………」

 ブランケットを引っぺがして、二人がユウの寝巻き代わりのシャツに手を突っ込んだ時。

「上がったよー…………ヒッ!?」

 ジャスデロが戻ってきた。

「…………」
「あ、お帰りなさい」
「な、な、何してるのっ!?」
「おージャスデロ。ちょっとした観察だ」

 んなもん観察したくないさ…………。

「な、な、何するのっ!?」
「ちょっと全裸に剥いてみようかと。ついでに写真とっといたら脅せると思います?」
「こいつそういうの気にしなさそう。つか、お前殺されるんじゃね?」
「易々殺されるつもりはありませんけどね」

 さて、どうだか…………

「だっ…………駄目!! 絶対駄目!!」

 ジャスデロが慌てた様子で駆け寄ってきた。

「「「?」」」
「ヒッ! 駄目だって!!」

 そしてユウを庇うように肩を抱き寄せる。しかしこれだけ五月蝿くても起きないユウがある意味凄い。

「「…………」」

 暫く戸惑うような顔で視線を交わしていたアレンとデビットは、

「まぁ…………ジャスデロがそう言うなら止めますけど」
「まぁな」

 無理にジャスデロの反対を押し切ってまでやろうとはしなかった。
 そのジャスデロはほっとした顔でユウの少しだけ脱がされかけた衣服を直し、それから元通りブランケットで包みなおす。
 …………ジャスデロが色事関係を極端に嫌うのは知ってるけど、だけどこんなのも? 何だか釈然としない。

 俺は渇ききった喉に、ビールを流し込んだ。


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