「あれ? ラビまぁたサボりかよ〜」
「何だか久し振りだねっ! ヒヒッ」
「お前らが言うんかい」
屋上で紫煙を吐き出してた所に、二年のデビットとジャスデロがやって来た。因みに現在普通のクソがつく真面目な生徒は四時間目の授業中。
二人共謎のメイク+制服魔改造+素行不良(デビットのみ+成績不振)で、親が代議士なんてやってなかったら間違いなく此処には入れなかっただろう奴らだ。因みに其処から成績不振とメイクを抜くと俺も同じだけど。
「アレンは一緒じゃないんさ?」
「授業真面目に出てるよ」
…………へぇ?
まぁ、出てるのと聞いてるのじゃ大分違うけどな。
別に授業に出ようが出まいが、そんなの俺が試験期には学校のコンピュータからテスト問題ハッキングして抜くからどうでもいいのに。(因みに回答なんかわざわざ探さない。そんなもの俺には必要ない)
「だってアイツ見かけはイイ子ちゃんじゃん」
「見かけは優等生! 中身は不良!!」
「その名は名俳優腹黒アレン・ウォーカー! ってな」
「今の台詞アレンに送りつけていい? リトゥンバイジャスデビ、っタイトルつけて」
「おいやめろマジで止めろ俺達殺す気かお前」
「あははは」
ジャスデビは適当に近くまで寄ってきて腰を下ろした。
鞄の中からスナック菓子とコーラと煙草を出して、それぞれ勝手にやり始める。
「そーいやさー。今日何だか妙に学校の周りで他校の奴ら見るんだよなぁ」
「? 何処の?」
「多分東校? 公立の」
「? ふーん」
レベルの低さに定評のある学校の名前に軽く眉根を跳ね上げた。
「あんまりうろうろされるとうちの教師が過剰反応して五月蝿くなるから止めて欲しいよなぁ」
「だよね、ヒヒッ」
ボリボリとスナック菓子を貪りながらジャスデビが頷く。
まぁ実際そうだろう。俺達みたいな例外も居ない事も無いが基本的には頭の良い私立の学校だ。
ヤから始まる自由業の方ですか? って聞きたくなるような風体の奴らがうろついてたら黙ってられるわけがない。
「物騒な感じ?」
「殺気ダダ漏れ。ありゃヤベーわ。好んでお近づきにはなりたかねぇな」
「デロなんかぶつかられたのに睨まれたんだよっ! ヒヒッ」
「そりゃ災難だったさ、大丈夫だったん?」
「デビが居なかったから大人しくした…………」
へたり、と眉根を下げたジャスデロの頭をデビットがよしよし、と撫でてそれから低く唸り声を上げた。
「ジャスデロに因縁付けやがった奴、俺がいつか叩きのめしてやるからな」
「うん…………」
まぁ比較的腕っ節が強いデビットがその場に居なくて、喧嘩が苦手な方のジャスデロしかいなかったのなら大人しくしてたのが一番賢い選択だろう。
「どんな奴?」
「金髪で、喉の下辺りに刺青入れてる奴」
「わーった、もし見つけたら連絡入れるさ」
「頼んだ」
コーラの缶を開けたデビットが、そういえば、と続けた。
「何か聞いたんだけどさぁ、三年に転入生入ったんだって?」
「そうそう、そういえば! 二年でも噂になったよっ! ヒヒッ」
「あー、そうなん? そうそう、うちのクラスに入ったんさぁ。しかも訳わからん事に覗きされたし」
「はぁ?」
「ナニソレ?」
驚いたように点目になる二人に俺は説明した。
「二限の授業抜けて旧体の器具庫でヤろうとしたらさ、なんか戸開けられてさぁ」
「意味分かんねぇ、何がしたいのそいつ」
「あんな所に用なんてないよね? ヒヒッ」
「だよなぁ」
いくら転入生っつったって、誰もいなければ気付きそうなもんだけどなぁ。
「つーかさ、何やらかして来たのソイツ? 何かやらかしそうな系なら早めにシメとかないと」
デビットが軽く拳を鳴らした。
「喧嘩で傷害?」
「万引きで窃盗?」
「女孕ませた?」
「怪しいクスリ?」
ジャスデビが適当に列挙した「転校しなきゃいけないような理由」。まともそうな、それこそ親が転勤とかそういう理由が出てこない辺りが二人らしい。
しかしどれもピンと来ない。
「いや、見た感じはそんなんじゃ全然なかったさ。どっちかっつーと大人しそうな感じ? っていうかむしろ女みたいな顔してるし」
「は? 女?」
「いやマジで。制服着てなかったらどっちか全然分かんないむしろ女に見える。んで俺がナンパする」
「マジで? そんなに女顔?」
「ヒヒッ、アレンよりもっ!?」
アレンもそこそこ「可愛い系」のどちらかと言えば女顔だ。
「いやいや、もう全然あっちのほうが女っぽいさ。アレンと比べたって」
「…………誰が女顔ですって?」
「「「…………」」」
ぴたり。
その地を這う低い声に、俺達の動きは止まった。