落ち着いてきたら今度は死にたくなってきた。
何なんだ俺は。最近涙腺がぶっ壊れてるとしか思えない。
ジャスデロは気遣わしげに、でも理由は聞かずに俺の隣に座り込んで何かをかじってる。
俺はそんな気にはならず、まだ開けても居ない包みを隣においた。モヤシにでも与えたら、食うだろうか。
オカシイんだ。胸が時折裂けるように痛んだり、鼓動が乱れたり。
一番わかりやすい理由からは目を逸らして――――――俺にはむしろそれが本当の事かどうかも分からないが――――――俺は心臓の病気なんかを疑ってみる。まぁ毎年毎年健康診断の結果は驚くほどの健康体だが。
「次の授業…………出る?」
「…………ん」
もう間もなく午後の授業が始まる。次は現国、その次が体育だ。
散々人を悩ませた下腹の辺りに意識を向けるも、痛みは特に無い。
出ても大丈夫そうだ。
「悪かったな、付き合わせちまって」
本当なら今頃、ラビやモヤシや兄貴と一緒に屋上にいたはずなのに。
パンの最後の一欠けをコーヒー牛乳で流し込んだジャスデロは俺の言葉に首を横に振った。
「んーん。デロがいたいからいたんだよ! ヒッ!」
「…………」
ジャスデロの頭に手を置く。
男の割に俺よりも低いところにあるそれをしばらく撫でてから、
「そろそろ行くか」
「うん!」
「…………え」
ロッカーを開けて、絶句した。
それなりに整理整頓していたはずが、中がグチャグチャだ。というか土が入ってる時点で…………
「…………、」
無言で中を眺めていると、後ろで囁き交わす小さな声が耳に入った。振り向くと、何人かの女が視線をそらす。
「…………ん? どしたのユウ」
視線を戻して暫くロッカーとにらみ合っていると、教室前方ドアからラビが出てきた。
「見ろよこれ…………性質悪いにも程がある」
体をずらして散々たる有様の中を見せるとラビが顔色を変えた。
「…………なにこれ」
「あーあ…………クソ、ジャージ使えねぇなこれ…………なぁラビ、保健室に予備ってあるか? …………ラビ?」
「…………」
返事がないことを疑問に思ってラビの方を向く。
と、そのラビは、鋭い目で俺達を遠巻きにしていた同級生を睨みつけていた。
「…………おいラビ、」
周りを威嚇すんな。
「〜っ、なんでユウはそんなフツーなんさ! いつもだったらもっとキレやすいじゃん!」
「程度が低すぎて怒る気にもなんねーんだよ。今の俺には犯人探しよりも替えのジャージのが重要だ」
授業が始まるまでもう間もない。
今から借りて…………で間に合うか?
「…………。俺の使う?」
「ってお前、授業は?」
「サボる」
「…………おい」
余りにも堂々と言われると咎める気すら起きない。
ラビは少し離れたところにある自分のロッカーを開けると、中から袋一つを放って寄越した。
「使っていいよ。じゃ、」
「あ、あ」
踵を返したラビの背を視線で追いながら、投げ渡されたジャージを強く握った。
「…………ねぇあんた。何やってんの?」
「!」
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