放課後。
 俺はジャスデロに誘われ、奴の家を訪ねる事になった。
 珍しくもデビットは居ない。モヤシと一緒になってラビを引きずり出すための算段を建てたいらしい。俺がジャスデロに誘われた理由もそれだから、正直何も別れる必要は無い気もするが…………。
 しかし取り敢えず、俺はジャスデロと共に奴の家、デビットはモヤシと共にモヤシの家にそれぞれ別れて向かった。

 学校からかなり距離のあった、住宅街。 

 …………なんだ此処。

 でかい門扉を見上げて思わず呆然とする。
 何だ此処は。

「ヒヒッ! ただいまー」

 その俺の隣をすり抜けて、気の抜けた声でジャスデロがすたすたと中に入っていった。

「おい、ジャスデロ」
「ヒッ? 何?」
「此処、お前ん家なのか?」
「? うん、そーだけど?」

 …………デカイ。
 そうだ、親が代議士だとか言ってたよな…………。

「でかいな」
「でかいって…………神田の家とそんなに変わらないよ?」
「うちは住居兼職場なんだよ」

 敷地の大部分は道場関係だし、母屋だって家族以外の師範達が起居してるんだ。

「ふぅん? あ、」
『おかえりー』
「?」

 ジャスデロが続けようとした瞬間、奥からこれまた気の抜けた返事が返ってきた。

「家族か?」

 自然に声を潜めつつ、訊いてみる。

「うん。デロ達の兄キ。ヒヒッ! ティキー、」

 …………昼間話に出たティキって奴か?
 ジャスデロは幾つもあるドアの中から迷わず一つのドアに向かい、開いた。
 顔を突っ込んで、中に向かって声をかける。

「皆は?」
「出かけてるよ、ワイズリーもルルも。ロードはまだ帰ってきてないし」
「ふーん…………デロ、友達連れてきたから部屋行くね」
「友達? めっずらしー。ってか、デビットは? 一緒じゃねえの?」
「アレンとこ行ったよ!」
「…………本当に珍しい」

 ジャスデロが中にいる家族と話している間俺は手持ち無沙汰に周囲を見回していた。
 純和風のうちとは全然違って、洋風だ。
 窓のアレ…………ステンドグラスっていうのか? 教会とかにあるよな…………。

「部屋行くなら何か持ってってやろうか?」
「ううん、大丈夫! これから淹れてくる! ヒッ、神田、ちょっとこの辺で待ってて!」
「お、おう」

 顔を部屋から引っこ抜いて俺を振り向いたジャスデロは言うなりパタパタと踵を返して走っていった。
 …………此処で待つのか?
 廊下奥で丁度ジャスデロの背が見えなくなった頃、

「あらま…………せめて座らせてやるとかないのかね」
「!」

 中にいた筈の人間に後ろから声を掛けられて一瞬飛び上がりそうになった。
 気配ねぇし…………!

「あ、お邪魔して…………ます」

 振り向きながら、今更な事を言った。

「、」

 視線が合うと一瞬相手が目を見張る。
 …………へぇ、こいつがジャスデビの兄貴か…………。
 顔は似てないがカラーリングが同じだ。

「…………、いらっしゃい。あんたで三人目だよ」
「?」

 三人目…………?

「あいつらが此処に連れてきた人数。…………此処で立って待つのもアレだし、中おいで。座ってなよ」
「あ、はい」

 誘われて、俺は部屋の中に入った。







 ソファーに座ると想像以上に柔らかく体が沈み込む。
 後ろに転がらないように気をつけながら足を揃えた。

「…………、」

 俺を中に入れたジャスデビの兄貴は俺の向かい側に座り、ニコニコと笑って俺を見る。
 …………何だか居心地が悪い。
 ジャスデロ早く戻って来い…………。

「その制服って事は、あそこの学生?」
「そうです」

 この流れならあそこってのが学校の事だろう。
 確か、先輩なんだよな?

「ふぅん…………。でもさー?」
「?」

 相手の笑顔がより一層深くなる。

「あそこって、いつから女子が男子の制服着てていいようになったの?」
「――――――!?」



 小説頁へ