店を出た所で見たことのある車がすっ、と近寄って来た。
中から軽く右手を上げてたのはやっぱりティキだった。
「よう。久しぶり」
「そうさね」
こないだ電話で話したばっかりだけどね。
「またうちに遊びに来いよ」
「あー、近い内にね」
この間の発言の真意も問いたい所だ。
…………つか、まぁ。気付いてんだろーなー…………
だってさっきからユウがめっさ警戒して、ジャスデロの後ろに隠れてるし…………
「神田もね?」
「…………」
ティキはにっこり、と少女とかレディとかマダムに(つまりありとあらゆる女性に)向ける営業用スマイルをユウに向けた。
だけど普通の子なら少なからず良いと思う筈のそれに、ユウは無言で左手の二の腕を摩っている。寒気がしたんだろう。
「ア、アレンもな?」
「何ですか僕にだけその態度」
ビミョーに、アレンにだけ怯えた顔のティキが控えめに声をかけるとアレンは不服そうな顔をした。アレンと、ついでに師匠のクロスはティキにしてみれば鬼門だから仕方ない。
そそそ、と後退りしてジャスデロのすぐ隣へ行き、
「!」
そして俺は見た、ティキがさり気無くを装ってユウのお尻に触ったのを!
ビクッ、と背筋を伸ばしたユウが――――――
ゴンッ!
「「!」」
「っで!」
殆ど反射的に、ティキの頭に肘鉄を入れた!
「…………何やってるんですか?」
「おいおい神田、ティキがそれ以上アタマ悪くなったら困るだろうが、ただでさえそいつ進級アブねーんだからよ」
「…………」
誰もティキの心配なんてしやしなかった。そりゃそうだ、俺もしてない。
ってか、あんにゃろ…………。
「ティキ、神田ん家分かるか?」
デビットがたった今起こったことなんて華麗にスルーしてティキに声を掛けた。
「…………、…………。知らないけど、住所教えてくれればナビ入れるから大丈夫」
「あいよ。んじゃー行こうぜー」
「じゃあ、また」
俺達は互いに手を振り合う。ユウ達四人が車に乗り込むのを見送ってから俺とアレンは二人連れたって駅へ向かった。
「…………」
…………読めない。
ラビの考えが。
窓の外の景色を見ながら小さく嘆息する。
向こうが避けてきたからこっちも避けたのに、何故か今日のラビは妙に友好的だった。
…………分からない。
アイツは一体、何がしたいんだ?
「…………」
気付かれて、なかったのか?
じゃあ、昨日までのあの態度は一体…………。
駄目だ、考えても考えても分からねぇ。
いっその事何も無かった事にして、前と同じ態度を取るか?
…………でも。また、いつ、避けられるか…………
…………。
こんなに俺は臆病だったか…………?
窓に写った自分の顔は、我ながらウザい顔をしていた。
翌日以降、まるでこれまでの確執(?)なんて無かったみたいに人懐っこく振舞うラビに、心底悩まされたのが馬鹿馬鹿しくて、一発殴っておいた。
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