恋をすると美しくなるのが女だけとは限らない。





「…………」

 ふぅ、と溜息をつく。
 気だるい、それでいて何処か艶めいて幸せそうなそれに、周囲の視線が集中する。
 いつもの、これまでの彼だったなら即座に「何見てやがる!!」などと騒ぎ出し、乱闘へと発展していたのにだ。

「まぁ、何フェロモン撒き散らしてるのかしら」

 とは、幼馴染でも在るリナリー嬢のお言葉。
 そういわれても可笑しくないほどには、彼の様子は人目を引いた。
 ―――――――再び幸せそうな、溜息。陶然としたそれに、周囲も思わずつられる。

「神田?」
「?」

 リナリーがそう声を掛けると、彼は上を向いた。
 
「どうしたの?」
「何がだ」

 なにもしていないのに「どうした」などと訊かれた神田は不審そうに微かに眉根を寄せる。
 
「そんなやたら幸せそうな顔で溜息つかれたら気になるわよ。…………あと首のとこ。跡付いてるわよ」
「!」

 ばっ、と慌てて手で覆うも時既に遅く。
 慌てて辺りを見回せば視線の会った数人が慌てて視線を逸らした。

「っ…………」

 怒鳴りたいのに怒鳴れない、そんな顔で口をパクパクと動かしていた神田は―――――――

「さて。じゃあちょっと殺って来ますね☆」

 自分と背中合わせの位置に座っていたアレンの突然の行動に目をしばたかせた。

「あら、アレン君。何処行くの?」
「決まってるじゃないですか、手癖の悪い赤い虫を退治に★」

 …………本気だった。台詞の後の星が黒い時点で。

「アレンくーん、所で試作品のコムリンニューバージョンあるんだけど」
「あはは、それいいですね。ラビの部屋にぶち込んでみますか」
「おいおい、それだとブックマンにも迷惑かかるんじゃないか?」
「あ、それもそうだ。どうしようかなぁ」

 …………何故か、わさわさ人がやってきた。
 しかも全員が全員、和やかに笑っているようでいて目が笑ってない。そもそも話題がキナ臭すぎる。

「ねぇ、あっちでティエドール元帥が泣いてるわ」
「手塩に掛けた愛弟子を食い散らかされたらそりゃ泣きたくもなるわな…………」
「此処は一つ幼馴染として神田の純潔の仇を取って上げるべきかしら」

 誰も頼んでいない。
 
「はいはい、じゃあみなさん、エクソシストの人はイノセンスをー、それ以外の人は使いやすい武器を持ってくださいねー」
「「「「「はーい」」」」」

 パンパン、と手を叩きながらのたまったアレンに、明らかに可笑しい人数が声を上げた。

「じゃあ…………害虫退治に行きますか★」
「「「「「おー!」」」」」

 
 ぞろぞろぞろ…………

 
 集っていた人々がアレンの先導で食堂を出て行く。

「…………何だあれ?」

 思わず神田が呟いたのは無理も無い。

「ああ、そういえば…………」 
 
 忘れてた、と立ち上がりジェリーの元へ。
 
「なんか弁当くれ」
「あら、お弁当? さっき食べたでしょ?」

 珍しいじゃない、と続くジェリーの言葉に、

「俺のじゃなくてラビのだ」

 今日、これから。
 今本部から出ているラビと落ち合うのだ。
 
 そう説明すると。

「…………。……………………。ってことはさっき気炎を上げてた子達は無駄足って訳ね…………」
「?」
「あんたも策士ねぇ…………分かってるわよ、どうせ分かってないんでしょ」

 

 WINNER・神田 あんど。

 数多のライバルを潜り抜けてかの人を手に入れた ラビ。





 相互記念に蒼空様へ
 うん・・・うん・・・もう何も言えないですよ・・・(明らかに去年の話)(ごめんなさいごめんなさいごめんなさry)
 リテイク返品全て可でございます。
 大変申し訳ございません・・・っ!
 


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