その噂を聞いたのは、実はずっと前。
だけど、この目で確かめる機会はこれまで無かった。
君と出会えた事、それは悲劇か喜劇か――――――
学校で、一日のだるい授業を終えて背伸びしていた俺に悪友達が声を掛けてきた。
「なぁ、聞いたかラビ。次のコンパ、神田が来るんだってよ」
「神田? 神田って誰?」
「あれ、お前しらねぇの?」
聞いたことが、あるような、無いような。
「体育科の女子だよ」
「ああ、ガッコの代表で出て優勝した子さ? 剣道だったっけ?」
俺達の普通科はあまり体育科の子達とは関わりがない。
むしろどっちかといえば「脳味噌まで筋肉かよ」と哂ってる事だって多い。
ま、体育科の女の子は軽いノリで付き合える子が多いから、そういう意味では重宝してるけど。
「そー。もんの凄いクールビューティー。近付いただけで氷付けにされるかってくらい」
「へー? 体育科の子にしちゃ珍しいじゃん」
「体育科の子でも武道専門の子は割りと堅いぜ? 何で出てくる気になったのか知らないけどさぁ」
「そりゃ楽しみさぁ。貰っていい?」
「持ち帰れるもんならなー」
ケラケラ笑ってると一人が、
「あれでもお前…………彼女は?」
「一昨日別れた」
「何でよ? 可愛いじゃん、モアちゃん」
「他の子といた所見られたんさ」
「あっちゃー」
そう、俺は一昨日振られた。
まぁ別にそれ程の思い入れは無いから、別にいいんだけど。
「お前前回の彼女でも似たような事してたじゃん」
「なんかさー、飽きちゃうんだよなぁ。ほら、女の子って結局割りと皆一緒じゃん?」
「まぁな」
一しきり笑ってから、じゃあまた週末に、と手を上げて別れる。
「神田、ねぇ?」
それが悲劇と喜劇の、始まり。
笑ってるのは、天使か悪魔か。
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