「…………はぁ、」

 俺とティエドールさんをフルボッコにした仔猫はようやく興奮も引いて満足したのか窓際にちょこんと座って手を舐めていた。
 暫く一心不乱に舐めてる、と思ったら、 

「おい」
「はっ、はいっ!」

 人間換算したって三歳位だろう仔猫にビク付く自分に疑問を感じないでもないけど今はしょうがない。命を大事に、だ。

「めし。」
「…………あ、ああうん、ご飯ね。ちょっと待ってて」

 ティエドールさんが預けてくれた缶詰があったから…………

 キッチンに行って缶切りを持ってリビングに戻る。
 …………リビングでは倒れたティエドールさんの腕を仔猫が甘噛なんてもんじゃなさそうな強さで噛んでいた。

 い、痛そうさ…………。 


 カタン。


 開けた缶を皿に開けて、仔猫から離れたところからそっと押しやった。

「ど、どうぞ…………」
「ふん」

 そんな俺の様子を見て仔猫が鼻で笑う。
 あれ可笑しいな、この仔生まれて一月くらいのはずじゃ…………

 黙々と食べ始めるのをソファーの陰から見守りながら(仔猫だけあって食べ方がヘタだった。でも指摘したら死にそうだからやめておいた)仔猫が食べ終わるのを待つ。 
 …………やがてお腹が一杯になったらしい仔猫は、天井を向いて一つ大きく欠伸してから、丸くなった。
 寝る、みたいだ。

「…………、」

 そっと、そーっと、刺激しないように気を付けながら近づいた。
 多分あんなに凶暴なのは気が立ってるから。気が立ってるのは――――――怖いから。

 眠る小さな仔猫の頭をそっと撫でる。
 さらさらの感触が昔を思い出させて鼻の奥がツンとした。

「…………こんどはおれがしただから、おまえがおれのせわしろよらび」
「――――――え?」

 今、なんて…………

「今度」は?

 え?

 ええ?


 それって…………


「ユ…………」
「うっせぇねてるとこじゃますんじゃねー!!!」



 バリバリバリッ



「ぎゃー!!!!!」






 そしてめでたくも。
 俺と「ユウ」は、また巡り会えたのだがそれを俺が本当に理解するまではまだまだ時間がかかったのだった。



「約束通り、会いに来たよ」



<終>




 一作完結!!
 勿論仔猫=ユウですよ当然ながら。
 リクエスト内容を大体クリアした…………のかな…………?ちょっと悩むとこですが。
 投票いただいた皆様、此処迄ご覧頂いた皆様、どうもありがとうございました!



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