「…………え?」
放課後。
ラビの迎えを校門で待っていた俺は、突然声を掛けられ振り向いた。
相手は見たことがある、一年の生徒。
顔を真赤にしていたから何事かと思ったら、
「好きです、付き合って下さい!」
「…………いや、あの、」
誰だお前?
こいつの顔は確かに知っている。雪のように真っ白い頭をしていて、否が応にも目立つから。だが俺が知っているのは一年だと言う事くらいで名前は知らない。白くて細いから、内心モヤシと呼んでいる。
「…………お前、誰だ?」
声をかけてきた内容が内容だけに、これはかなり酷い切り返しだ…………そう思いながらもその問いを口にする。
予想に反して相手は気分を害した様子もなく、
「一年のアレン・ウォーカーです先輩」
「…………あ」
何かエミリアが言ってたぞ…………。
…………あいつ…………。
俺に男仲介するのはやめろつってんのに…………。
キラキラと輝く目で俺を見るモヤシ…………一年のアレン・ウォーカーに眉根を潜め、さてどうやって断ろうか…………そんな思索を巡らせていた時。
「ユウ、お待たせ」
「あ」
出た。
掛けられた声に一泊置いて振り向くと、ニコニコと口元は笑んだラビが笑ってない目でウォーカーを睨んでいた。
あーあ…………やっちまった…………。
見てて、聞いてたな。絶対。
「…………?」
「ん? お前誰?」
いかにも今気付きました風を装いながらラビは俺の肩を引き寄せた。抗わず、大人しく従う。
「え? あの…………」
「うちの妹に何の用?」
「! 先輩のお兄さんですか」
「うん、そうだけど? 用がないなら帰らせて。さ、ユウ行こうか」
思い切り掴まれた肩がギシリの痛んで思わず息が止まった。
「…………ラビ、肩痛ぇ」
「あ! ごめん!」
俺が訴えるとラビは慌てて手を離し、心配そうに眉根を寄せながら肩を撫でた。
「ごめん、痛かったさね」
「ちょっとだけだ」
肩に触れていた手は、腰へ。
俺達を呆然と見守るウォーカーに、溜息をついて。
「っつー訳で。『こういう』訳だから、付き合えない。悪いな、他当たってくれ。じゃなきゃ…………」
腰に触れてるラビの手に俺も手のひらを重ねて、出来る限りの笑顔で笑いかけた。
「ラビが納得するような、ラビよりも『いい男』になって出直してこい」
『聞いたわよ? 校門でブラコンアピールしたんだって?』
「してねぇよ」
風呂上りにリビングのソファーで寛いでたら、エミリアから電話が入った。内容は今日の放課後の事で、まぁ当然予想してたがやっぱりエミリアの差金だった。
『あーあ、アレン君可哀想。すっごくいい子なのに』
「あーそーだな如何にも気の弱そうな」
『もう。彼、神田に本気だったんだから』
「しょうがねぇだろ、年下なんざ男だと思えるか」
溜息をつく。と、目の前のテーブルに氷が入った麦茶が置かれた。視線をつつ、と上げると風呂から上がってきたラビが笑っている。
軽くグラスを掲げて礼をして、それから口を付ける。――――――冷たい液体が喉に心地良い。
『年上だったらいいの?』
「ジジイに興味ねぇ。――――――ラビが出てきたから切っていいか?」
『あーもー、どうぞ! 続きは明日ね』
――――――ピッ
携帯の通話ボタンを押して終了させる。
「エミリア?」
「ああ」
だと思った、そんな顔でラビは頷く。
俺の隣にラビが座ると、その重さでソファーが少し傾いた。俺も同時にラビに向かって傾く。
「今日のあの一年、なんかエミリアの差金だったらしい」
「あー、まぁそうだろうさねぇ」
「お前、怒ってないのか?」
「んー? ちょっとは腹立つけど、保護者に連絡したから大丈夫」
「?」
「ユウは気にしなくていいさー。ところでテレビ何見る?」
「…………」
延々と続く着信履歴と留守電の呪詛だかクレームだか分からない内容に、思わず彼は大きく溜息を付いた。
「おいアレン」
「はい? なんですか師匠。ご飯はまだですよ?」
「違ぇ。…………お前、あの娘だけはやめとけ。そのうちあの馬鹿兄に偶然装って殺されるぞ」
「?」
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