旅も終わりがけの頃。
 本番なしですがR18。
 勿論一度は試してる。







「…………」

 ジジジ、と蝋燭の芯が焦げる音がする。
 その音と、互いの微かな息遣い以外は何も聞こえない。
 時折揺らめく頼りない蝋燭の灯りに照らされてぼんやりと浮かび上がる、シーツの上に横たわるユウの白い裸体にごくり、と喉を鳴らした。
 想いを告げて、随分経った。最初は信じてもらえなくて、そこから少しずつ、少しずつ時間を積み上げた。人に話したらきっと回りくどさに笑われるだろう。別に良い。誰に話す気も無いのだから。
 右手で胸を庇い、左手で足の間を隠すユウは恥ずかしいのか斜め上を見上げていた。少し瞳が潤んでいる。嫌がっているのでなければいいんだけど。

「ユウ、全部見せて、」

 焦り過ぎないように、露骨な欲情を感じさせないように。ともすれば衝動に任せて襲いかかりたくもなるけれど、そこは我慢だ。
 甘く囁くとユウの肩がビクッ、と震えた。そろり、と右腕が動く。顕になった膨らみは形良く上を向いている。指先で、ほんの少し周囲より盛り上がっている所をくるりと一周、撫でてから胸の先端を軽く押した。

「っひ、!」

 電流でも流したかのようにビクリ、とユウの体が跳ね上がる。刺激で胸の先がより尖った。摘んでやわやわとこすり上げると体全体に力が入った、のが見えた。
 
「ユウ、下も、」
 
 あぁ、ズボンがキツイ。
 彼女にそう強請ってから、僕も自分のズボンに手を掛けた。
 引き下ろして自由になった瞬間。

「――――――!?」

 ユウが声にならない悲鳴を上げた。






「ど、どうしたんです?」

 まだ何もしてない。
 ユウは青ざめ震えて、足の間を隠すことも忘れた様子で両手で口元を隠した。
 暫くの後、絞りだすような声で、

「…………何だ、それ?」
「何だって…………」

 ユウの視線の先を辿る。と、そこには反り返った、元気なオスの証。

「何って…………。生殖器です」

 他に答えようはない。

「足の間の奴、だよな」
「えぇ、まぁ…………」
「で、でも、俺が知ってるのとそれ違っ…………!」
「知ってるのって何ですかどれですか誰のですか!?」
「た、胎中室で、」

 …………あ。

 そう言えばそんなやりとり見た気がする…………



 ・ ・ ・ ・



『エドガー博士』
『うん? どうしたんだい?』
『…………アレ、何だ?』
『アレ…………?』

 小さな頃のユウが胎中室で眠る仲間の一人を指さす。

『足の間の…………』
『足の間? …………!!』

 エドガー博士がうっ、と言葉に詰まった。

『俺、アレ無いぞ。…………アルマはあるのに。俺にもそのうち生えてくるのか?』
『い、いや、生えてくるようなものじゃなくてね…………』

 ユウは不安げな顔で博士を見上げた。困り顔の博士はそんなユウの頭を軽く撫でて、

『ユウは女の子だから無いんだ。無くていいんだよ』
『…………おんな?』
『そう。支部長や、ユウや、レニーは女の子なんだ。僕やアルマや、その子達は男の子なんだよ。アレは女の子には無くていいものだから、大丈夫』
『…………支部長も無いのか』

 ちょっとほっとした顔でユウは頷いた。

『こないだアルマと一緒に風呂入ったら、『ユウの、どうしてないんだろう』とか言ってたから。良かった』
『…………。…………。ユウ、お風呂は今日から一人で入ろうか』
『?』



 ・ ・ ・ ・



 思えば随分際どい話だ。十歳ともなれば二次性徴が始まる事だってあるだろう。
 僕なんてその位の年の頃にはお姉さん達と、てんてんてん。 
 そんな懐かしい記憶をちょっと思い返して微妙な心境になる。あの頃はある意味で純粋だったなぁ…………。目的を知らないままやり方だけ覚えてしまって、最初の内はアレで子供が出来るって事自体知らなかった。

「…………、…………それ、俺の手首位ある、よな?」
「あー…………」

 反り返った僕自身をおどおどと見るユウが、不安そうに呟いた。
 確かに同じ位に見える。

「…………親指位だと思ってた…………」
「それはほぼ成人としてはちょっと悲しくなりますけど…………」

 世の中にはそういう人も、いないでもないですが。

「…………、…………、…………」

 どうしよう、と言いたげな顔で視線を彷徨わせるユウの表情には迷いと不安が透けて見えた。

「ユウ、」
「…………」

 伸ばした手でユウの頬を撫でる。

「君が辛いなら先には進みませんから、試してみても良い?」
「…………」

 ユウはこくり、と頷いた。







 一応慣らそうと指を挿れた瞬間。

「いっ…………だ、痛い、アレン、痛いっ!」
「う、わっ!」

 ユウが力任せに振り回した腕が目の前の空を切る。
 悲鳴を上げてじたばた暴れるユウの中から慌てて指を引き抜いた。痛めつけるような事がしたいんじゃない、だけどこれ…………

「ユウ…………今の、指ですよ?」
「…………痛かった」

 その言葉に嘘は無いだろう、両の目にこぼれ落ちんばかりに湛えられた涙。
 …………どうしようかな…………。
 ゆっくり、あくまでゆっくりと慣らしていくしかない。出来るだけ苦痛を与えないように、兎も角ゆっくりと。
 僕らには時間があるんだから。
 謝罪と愛情を籠めて涙が滲んだ瞼に口付けを落とす。
 不安そうに見上げてくるユウに柔らかく笑んで、

「まぁ…………ゆっくり行きましょう? 愛してます」







 怖くて力が入って余計に痛い。
 そして戻ってもまだ本懐を遂げられないアレン。


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