#親馬鹿なクロスとティエドールが居ます。ティエドールは通常運転。
#3年程度経過した後だと思ってください。(神田嬢→22、アレン→19)前作逃避行2からは半年程度。クロス生存は通信で既に知ってた。
#アレンも神田嬢もエクソシストとして復帰しています。
#ラビは普通にまだ教団に居ます。
「相変わらず陰気な所だ」
思わず毒吐く。
可能ならばこんな所に一々帰ってきたくはない。だが帰らなければそれはそれでルベリエ辺りが面倒だ。寄越された通信の嫌味とも皮肉とも恨み言ともつかない内容は思い返すだけでうんざりだった。
それでもまだ大分マシになった方か、と無理矢理思うようにしながら歩けばいつのまにやら入り口だ。知らされていた認証を終えて中に入る。
と、だ。
「あれ? クロス元帥?」
「…………ジュニアか」
丁度その場にいたブックマンの跡取りと出食わした。
「珍しいさね、本部に来るなんて」
「ケッ」
出来れば来たくないのは言うまでもねぇ事だ。
「アレン達が連絡取りたがってたから丁度良かったさー」
「…………アレンが?」
上げられた弟子の名前に眉根を寄せる。…………連絡を取りたがる? 要件なんざ精精押し付けた借金のことくらいしか思い浮かばねぇが。
何の用事だ、とブックマンJrに無言で続きを促せば、
「ふっふっふ…………知りたいー?」
「…………」
ゴリ。
鬱陶しいので断罪者を押し付けておく。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」
分かっていただろうに平謝りのブックマンJrに溜息をついて。
「んで?」
「アレンが、結婚前に挨拶したいって」
「…………………………………………………あ?」
結婚?
誰が?
いや、誰とだ?
「おい」
「へ?」
「誰とだ」
「さーて、誰でしょう?」
懲りねぇなこいつも。
今度は威嚇なしに、思い切り引き金を引いてやった。流石に当てるつもりはないが。
パラパラと砕け散った付近の壁に、引き攣った表情のジュニアが、
「…………ユウです」
「あ?」
「ユウさ、ユウ。神田ユウ」
「…………神田…………?」
告げられた名前に心当たりがない訳では、無論無い。
年の頃は20を超えて僅かだったか。セカンドエクソシストとして数奇な生を受けた娘だ。10そこそこのガキの頃から知っている。当時から将来が容易く予想できる美しい容貌をしていたが如何せん残念なことに気性が粗すぎる上に、そもそもあのティエドールの弟子だという時点で手を出さないが吉だというのは分かっていた。
「何でまた、ティエドールの娘なんざ面倒この上無いだろうに」
奴の親馬鹿、いやそれを通り越しての馬鹿親振りは傍から見ているだけも十分すぎる。わざわざその掌中の珠に手を伸ばそうとは、あの馬鹿弟子何を考えてる? それは一般的には「無謀」「命知らず」と呼ばれる行動だ。
「よく分かんねーっす。最初すげぇ仲悪かったのにいつの間にかくっついてて」
ブックマンJrが気付かないうちに、というと…………さては教団出奔中か。
そう言えば二人共そうだった。俺もだったが。
まぁ、美しい娘だったから惑わされるのは分かる。アレンに年の近い女は教団にはそれ程居ない。コムイの妹か、ティエドールの娘か。どちらにしろ問題ありだ。
「…………」
微かな頭痛めいたものに額を抑えていると、
「此処んとこずっとティエドール元帥にボコボコにされてるんさ、アレンの奴…………ってうわぁぁぁぁ!?」
不愉快な話に断罪者を乱射しつつ、酒で流す為に部屋に向かった。