ででんっ!
「上様の〜おなーり〜!」
「「「「ははーっ」」」」
此処は江戸城大奥。
たった一人の将軍の為に、美女千人が…………
もとい、美男千人が集められた場所でございます。
「っておい待てこら、何で男なんだよ!?」
当代の上様のお名前は神田ユウ様と申されます。(ナレーションガン無視)
御歳は華も恥らう18歳。
お子様の無かった亡き叔父上様のご遺言で、上様となられて早二年。
良き家臣に恵まれた上様の治世は安定しており、民からの評判も上々です。
「おらさ、あんな別嬪な将軍様始めて見たべ」
…………ええ、治世が安定してるからですよ? 顔じゃないですよ?
ともかく、これと言って問題なく見えるのですが、実は大変な問題が一つございました。
上様には、跡取りとなられるお子様がいらっしゃらないのです。
「あら神田、じゃなくて上様御機嫌よう」
「げ…………」
朝の総触れを終えられ、昼食までの自由時間を素振りに費やそうとしていた上様の下に、美しい微笑む少女を筆頭とした集団が現われました。
落飾され、現在は西丸にお住まいの、先代御台所のリナリー様とそのお女中達です。
「そう言えば上様、また側用人が嘆いてたわよ? どんな男を大奥入りさせても上様が全くご興味を示してくださらない、と」
「いや、だからなんで男なんだ…………」
「まぁ、当たり前じゃない。男じゃなかったらどうやって上様を孕ませるの?」
「お…………俺は男だ――――――!!」
「そんな事は知ってるわよ。大丈夫、兄さんの発明した薬があれば男でも懐妊出来るのよ!」
「アホかぁぁぁぁぁぁ!!」
リナリー様の実の兄君、コムイは大奥のお年寄りです。
歳若いとはいえ跡取りのいない上様を心配され、毎夜毎夜手を変え品を変え策を講じられてはおりますが、これがうまくいった試しがございません。
「ともかく、先代御台としても言わせて貰うとね、跡取りを作るのも将軍の義務。早い所可愛い孫の顔を見せてね?」
「…………。」
先代御台様といえば義理の母君も同然。
そんなリナリー様のお言葉に、上様はぐっと詰まり、そして踵を返して足音荒く足早に去っていってしまわれました。
残された形のリナリー様は頬に手をあて、あらあらと呟かれました。
「上様にも困ったこと。ねぇミランダ?」
「そ、そうね…………」
「これは私達も、どうにか策を講じた方がいいかしらね…………」
リナリー様の瞳が、すっと細められました。