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 二人が居なくなり、ラビはコムイと二人だけになると表情を変えてコムイの方を向き直りました。

「…………さて。どう? 城の方」
「どうもこうも。開戦派が大多数だよ。…………軍備も着々と進んでる。予備役が召集かけられるのも間も無くだろうね」
「…………魔王が出現したっていうのに、暢気な事やってるもんさ」
「魔王討伐は君に一任してるからね。良くも悪くも、あの作戦も効を成さなくなって来ている」
「…………」

 ラビは無言で、コムイが水を注ぐグラスを見詰めます。

「はい、どうぞ。…………困ったもんだよねぇ」
「…………人は愚かなもんさ。喉元過ぎれは熱さ忘れるって良く言ったもんさね。デザートローズの悲劇をまた繰り返したいのか」

 ラビが、低く吐き捨てました。

「まぁ悲劇って言っても結局この国の被害なんて微々たるものだったんだ。…………被害よりも得た利益の方が遥かに多い。味を占めたっていう方が正しいかもね」
「…………たまに、何の為に俺達がいるのか分からない時がある」
「…………」

 グラスを強く掴んで、中身を一気に飲み干したラビにコムイは静かに、しかし断固とした調子で言いました。

「国の事は任せなさい。僕とクロスで何とかしよう。駄目だったら、最後の手段だ」
「…………。」

 最後の手段、という言葉にラビは壁に飾られた、何が入っているのかも怪しい瓶を眺めました。
 そう、その為にコムイは王宮にいるのです。

「…………あちらさんには?」
「鳩を飛ばして連絡してあるよ。もうそろそろ何らかの動きがあるだろう」
「…………了解。じゃあ、俺行くさ」
「あ、ラビ。聞き忘れたんだけど、あの二人は大丈夫なのかい? 策は講じて置かなくて…………」
「ああ。あの二人、クロスん所の奴さ。いざとなったらクロスが如何にかしてくれるだろ」
「へぇ…………、…………クロスの所の?」
「ああ」
「…………、…………ふーん」

 何処か納得した様子のコムイにラビは怪訝そうな顔をします。

「?」
「や、何でもないよ。納得しただけ。行ってらっしゃい」
「? うん」

 ラビを見送ったコムイは、ラビの姿が消えると、

「…………成程ね。デザートローズの…………。クロスも思い切った事したなぁ…………」

 静かに一人呟いたのでした。







「陛下。彼奴等から鳩が届きました」
「ご苦労」
「何と…………?」
「契約の子が旅立ったらしいな。此方に着くのは一月は掛かるか」
「…………、」
「…………そんな顔をするな。こうなるのは分かっていただろう」
「しかし、しかし…………! 無き父君がお亡くなりになってまだ僅かでございます…………!」
「だが先の契約の子は契約を履行した。ならば次は俺が履行するのが筋というものだろう」
「しかし…………!!」
「良い、下がれ。ああ、下位の奴らには人を殺めぬようによくよく言い聞かせておけ」
「…………畏まりました」

「…………契約の子か」

「…………   早く、俺を殺しに来い」





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