ある所に鼠(らしき生き物)の親子が仲良く…………
「ねぇユー君ユー君♪」
「キモい呼び方しないで下さい。あと…………くっ付くな!! うぜぇっ!!」
…………きっと仲良く暮らしておりました。
「そう言えばユー君ももう18歳なんだねぇ…………」
「はぁそれがどうかしましたか」
ある日、ご飯を食べながらしみじみと感慨深げにお父さんが呟きました。息子は心底どうでもよさげに、投げやりに、しかしそれでも返事をしてあげます。
「18歳と言えばもうお年頃だね。…………よし、パパが頼りになるお婿さんを貰ってきてあげよう!」
「…………はい?」
ガタッ!!
そう言うなりお父さんは善は急げとばかりに立ち上がり、唖然と見送る息子は置いてきぼりにして行ってしまいました。
「…………、…………、…………。いや待てよ…………婿っておかしいだろクソジジィ―――――――!!!!」
息子の絶叫などいざ知らず、お父さんは意気揚々と出かけて行きました。
「うーん、この辺で一番強いと言えば…………、…………うんまぁ強さだけじゃないよね他に大事なものもたくさんあるよね」
性格とか素行とか女癖その他諸々、です。
「呼んだか?」
「お呼びじゃないよ、そこの不良!!」
いつの間にかお父さんの前にいた太陽がハン、と鼻で笑います。
「んで? てめぇは何を探してた?」
「少なくとも君じゃないけどね。…………この辺りで君の次に強いのって誰だい?」
「あん? …………アレンだろ」
「…………ふーむ、」
太陽の弟子の雲の名にどうしたものかとお父さんは考え込みます。太陽よりは大分マシとはいえ雲の方も性格に難アリです。
ついでに大変な大食漢なので可愛い息子がエンゲル係数に苦労するかと思うとイマイチ気が乗りません。
「うーん…………、んんー…………まぁ見に行ってみようかなぁ…………」
「ったくあのクソジジィ、どこ行きやがった…………」
一方こちらは取り残された形の息子の方です。お父さんが片付けもしないで行ってしまったのでその片付けと部屋の掃除とお洗濯、その他の家事諸々を文句を言いながらも手を休めることなくこなして行きます。お父さんが「婿を貰ってくる」といった理由が何となく察せられる場面です。
「やっほー、ユウー♪」
「あん? …………てめぇか」
そこに顔を出したのは隣に住むラビです。鼠なのにラビ(兎)。しかしその矛盾には突っ込んではいけません。
「…………あれ? 親父さんは?」
「出かけた」
その言葉に、ラビの目がきゅぴん、と光りました。
チャンスです。好機です。
しかしその次の瞬間、ユウの言葉にラビは凍り付きました。
「俺の婿を探すだとか何だとか…………普通嫁だろ探すなら…………」
「…………。…………。……………………ええええええっ!?」
「うっせぇぞテメェ」
鼠のラビの絶叫が、長く尾を引いて木霊しました。