あるところに、赤ずきんちゃんと呼ばれる女のk…………女の子…………? もとい何処からどう見ても女の子と呼ぶには難しい男の子(18)がおりました。
「なっ、何さこれ!? 何でスカート!? 何で俺さ!?」
…………混乱してる主人公はほっといて続けます。
赤ずきんちゃんには森に一人で暮らしている病気のお祖母さんがいます。
今日赤ずきんちゃんは、お母さんに森の中で一人で暮らしているお祖母さんのお見舞いに行くよう言われました。
「って言う訳でラビ、お願いね?」
「うわ、リナリー!?」
「今は「お母さん」でしょ?」
「…………はい…………」
お母さんにっこり笑顔で脅さr…………もとい、諭されて赤ずきんちゃんはパンと赤葡萄ジュースを満載にした籠を受け取りました。
「病人に赤葡萄ジュースとパンっつーのはどうかと」
細かいところは突っ込まないで下さい、赤ずきんちゃん。
「じゃあ、いってらっしゃい。森には狼が出るから気をつけてね。ついてっちゃ駄目よ?」
「ほいさ、余裕余裕!」
赤ずきんちゃんは愛用の槌を取り出すと、
「伸! 伸、伸、伸ー!!」
その槌の柄に乗って、飛んで行きました。魔法少女赤ずきんちゃんです。
いってらっしゃい、と手を振っていたお母さんはぽつりと、
「あら。…………ちゃんとフラグを立てないとヒロインが出てこないのはゲームと一緒なのにね」
…………と何やら不穏な事を呟きました。
赤ずきんちゃんのお祖母さんは森の小さな一軒家に住んでいます。
…………高齢の、しかも病気のお祖母さんが一人暮らしとは何やら嫁姑的な確執めいた物を感じさせますがそれは本題ではないので省きます。
家の前まで飛んできた赤ずきんちゃんは、しゅた、と柄から飛び降りました。
「ばあさーん、見舞いにきたさー!!」
そう言いながら、ノックもせずにドアを開きました。
「あ、ラビ。わざわざありがとうございます」
「おー、アレン。身体は平気さ?」
「お陰さまで」
赤ずきんちゃんのお祖母さんです。
元気そうなので赤ずきんちゃんもほっとして笑います。
「これ、お土産さぁ」
「あ、美味しそうなパンですね、早速…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………なー、アレン」
「…………はい」
「…………これさー、赤ずきんちゃんじゃないよな?」
「…………確実に。だって狼も猟師も出てきてないじゃないですか」
「それはね、ちゃんとフラグを立てなかったからだよ」
「「!!」」
突然割り込んできた第三者の声に、赤ずきんちゃんとお祖母さんはバッ、と振り向きました。
そこにいたのは体長15cm程の眼鏡をかけた妖精? さんです。
「ラビ、どうやって此処まで来たんだい?」
「え、どうって…………伸で…………」
「そう、それだ!」
ビッ、と体長15cmの妖精さんがラビを指差します。
「本来赤ずきんちゃんでは赤ずきんちゃんは森の道を通り、お母さんの言いつけを破ってお見舞いの花を摘むんだ。今回君はそれをしなかった、それこそが最大の過ちさ!!」
「過ちって…………んな大げさな」
「いやー、だからこんな事になっちゃうんだよ?」
妖精さんが手元のリモコンを操作すると、壁に突然モニター画面が浮かび上がってきました。
「アレン、お前の家いつの間に改造されたんさ…………」
「…………全然気が付きませんでした…………」
赤ずきんちゃんとお祖母さんが囁き交わしている間に、真っ暗だった画面にうっすらと風景が映り始め―――――――
『あっ、は、ん…………!』
「「!!??」」
何やらピンクが音声までもが流れ始めました。
『や、嫌だ、やぁっ!』
『もうギブアップか。…………まだ仔狼ってもんだな』
鮮明になった画面。
そこに映し出されたのは、まだ歳若い黒狼と、
もう悪役にしか見えない猟師でした。
<続>