ある所にシンデレラという名n「誰が灰かぶりですって?」
 気を取り直して…………シンデレラという名の少女g「誰が少女なんですが?」もとい少年がおりました。
 シンデレラは、毎日毎日意地悪な継母と二人の義姉に苛められて、涙でスカートの裾を濡らす毎日でした。
 
「別に泣いちゃいませんけどね。リベンジしますし」
「意地悪な継母とは我輩の事デスカv」
「っていうかー、僕アレンより年下なんだけどー。あとティッキーに至っては女ですらなくない?」
「…………何だよこのポジション…………」

 継母・千年伯爵
 義姉(長女)・ロード=キャメロット嬢
 義姉(次女)・ティキ=ミック侯

 出演協力のノアの一族の皆さん。…………色々おかしなキャスティングです。

「って何、ロード俺の姉貴役!? 何だよそれ!!」
「もういいよ、で? 舞踏会の招待状何処?」
「ロード、物事には手順ってモノが…………」

 色々あって、年頃の女の子…………? が三人揃う、この家にお城からお年頃の王子様の結婚相手を探す為の舞踏会の招待状が届きました。

「っていうかたった一度の舞踏会で結婚相手決めろってのも相当な話だよな」
「まぁ、そう言わないで下さい。そういうのが高貴な人々の定めってので…………」

 ガサガサとシンデレラが招待状を開き―――――――そして途中で見えた紅い頭に速攻でそれを握り潰しました。

「検閲削除―――――――!」
「うわ、少年何やってんの!」
「何ですか今の何ですか今の何ですか今の!! あの人普通に王子なんて言う歳じゃないでしょう!? 大体前回出張ってた癖にまだ出てくるつもりですかっ!! まだラビの方が分かるっつーんですよ!!」
「国王が生きてたら何歳でも王子なんじゃ…………」
「落ち着きなよぉ」

 ぜーはーぜーはー。
 トラウマを発動させたシンデレラが、悲鳴のような声で叫びました。
 
「…………僕は行きませんからね!? 絶っっ対に行きませんからね!!??」
「わ、分かったって…………」
「シンデレラじゃーそもそもシンデレラは舞踏会行けないんだよねぇ、最初は」
「最初から最後まで行きません!!」

 ―――――――継母と義姉の意地悪というよりは、本人の強い希望により、シンデレラはお留守番となりました。
 
 


「やだやだ、師匠の結婚相手になる位なら一生此処でメイドさんやってたほうがまだマシですよ」

 ブツブツ言いながらシンデレラは床掃除を始めます。

「そりゃお城の晩餐会は魅力的ですけどね? でも無い無い。無理無理…………」
「…………舞踏会に行きたいか?」
「行きたくありません!!! 断固拒否!!」
「そうか…………、あ?」
「って、え?」

 そこに割り込んできた第三の声。
 シンデレラが思わず振り向くと、其処にいたのは―――――――夜闇の色に紛れてしまいそうな、漆黒の魔法使いでした。

「…………お前、」

 その彼が眉根を寄せてシンデレラに文句をつけます。

「脚本無視すんなよ」
「んな事今更言わないで下さい。で、魔法使いの神田。僕は、絶対、絶ぇぇっ対、行きません!!!」
「話が進まないだろ」
「別に知った事じゃありません!」
「…………。」

 魔法使いは顎に手を当てて考え―――――――そして、誰もいない空間に向かって言い放ちました。

「おいラビ。しょうがねぇ、リナリーに伝えて配役か脚本変えさせろ。俺が代わりに行く」
「「ええええええっ!!!」」
「モヤシが勝手な事言ってるから、しょうがねぇ」
「ちょっ…………ユウ駄目だって!! ユウがうかうかクロス元帥んとこんなんて行ったら…………」
「間違い無くその場でお持ち帰り決定、ご成婚ルートですよ!! 喰べられて終わりですって!!」

 慌てて言い募る二人(使い魔の兎の妖精さんは声のみ)に、魔法使いはあっさり答えました。

「元帥が人なんか喰うか。人喰い人種じゃあるまいし」
「「…………」」

 魔法使いは、若干お馬鹿さんなのでした…………。

「ユウ…………人を喰うってそういう意味じゃ…………」

 勿論この場合の人を喰うとは(自主規制)的な意味です。

「駄目ですって…………あっ! そうだっ!!」

 ピカーン! と、シンデレラの頭上に電球的なものが浮かびました。

「神田、代役ならそこにも一人いるんでしょう?」
「? …………ラビのことか?」
「え」
「ラビに行って貰いましょう! 赤毛同士仲良くなれますって!!」
「関係ねー!!」
「さぁ神田、ラビに魔法を!」
「ええええ!?」

 喚く声だけの兎の妖精さんに、魔法使いが「てい。」と気の抜けた掛け声と共に杖を振りました。
 
「うわぁぁぁ! 何、何で俺二回連続で女装なんさ!?」

 そこに現れたドレスに身を包む妖精さんに、シンデレラはいっそ清清しい程の笑みで答えました。

「さぁ? そんな事知りません。…………じゃあ逝ってらっしゃい、お幸せに★」
「ひぎゃ――――――!?」

 喚く妖精さんを、ネズミを変身させた従者がカボチャを変えた馬車に無理矢理載せました。

「嫌ぁぁぁぁ!! ユウ助けて――――――!!」
「えーと。頑張れ?」
「ユウの薄情モノ――――――!!」
 
 薄情モノー、モノー、とエコーする声が道に響き渡り――――――やがて車輪の音も聞こえなくなりました。
 

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