「…………あれ」

 ぼやけた視界に映る時計。指し示す時刻は、――――――!?

「うわぁぁぁぁぁ!!」
「!?」

 思わず叫んでシーツを跳ね除けベッドから飛び出した!
 そんな俺に驚いたのか、隣で眠っていたユウも飛び起きる。

「時間! じっかっんっ!!」
「…………チッ」

 俺が叫びながら慌てて、昨夜ベッドに入る前に床に放り出していたパンツとズボンに足を入れて格闘していると時間を確認したらしいユウが舌打ちを一つ。
 俺達がベッドを共にするような関係であるのは勿論他の人間には秘密なので、こんな人目に付くような時間になってからユウの部屋を出るような真似は本来ならばご法度だ。
 寝過ごした事を歯がゆく思いながら――――――その理由は熱くなりすぎた昨日の夜だったけれど――――――何とか腰までズボンを引っ張り上げて上着を着る。少しキツい事を不思議に思う暇も無くベッドを振り向いた。まだ裸体にシーツだけのままで、少しぼんやりとした顔のユウの頬に慌しくキスを一つ。

「それじゃ、俺行くからね。後で食堂で」
「…………あぁ」
「ユウ、二度寝すんなよ!?」

 我ながらムードも何も無ぇさ、と思いながらこっそりと細くドアを開けて外を伺う。人気が無い事を確認して廊下に飛び出した。

 

 

 食堂はこれから任務に出る奴、或いは鍛錬に行く奴でごった返している。

「おはようございます」
「おはよー」

 朝から疲れた、昨日の夜の疲れもある(これは自業自得なんだけど)。既に山程の料理を並べたアレンの近くに席を取る。
 搾り取られた分栄養補給しなきゃな、なんて呟いて朝にしては重めの、大きなハンバーグとフレッシュな野菜を挟んだジェリー特製ハンバーガーを選んできた。
 ふと、それまで皿を空にするだけの簡単なお仕事に精を出していたアレンがふとナイフとフォークを動かすのを止めて俺を見る。

「? 何さ?」
「ラビ、太りました?」
「!?」
「シャツ、キツそうですけど…………」

 太っ…………!?
 い、いやそんな訳ねーさ、普段これでも鍛錬してるし任務行ってるし昨日もたっぷり夜の運動してるしそんな訳…………でも確かにシャツはキツい。胸も腹もピチピチだ。
 女子じゃあるまいし毎日体重計に乗るような事はしていないからウエイトの増加があったとしても気付かないかもしれない…………。
 名実共に「幾ら食べても絶対に太らない」アレンが若干の呆れと同情の入り混じった視線を向けてくる。こうなるとつい先程貰ってきたばかりのハンバーガーに対して途端に食欲が失せるんだから不思議だ。
 無言のまま手付かずの皿をアレンの方に寄せると心得たとばかりに取り上げたアレンが三口位で胃の中に収めた。
 ユウを見習って蕎麦でも食べようか…………でもあれだけだと力が出ない。お肉が欲しい。
 椅子から立ち上がったとき、丁度アレンが「あ、神田。おはようございます」と口にした。

「あ、ユウ。ユウも蕎麦食べる?」
「あぁ」

 いつも通りアレンをスルーしたユウが俺から椅子二つ離れた辺りに座った。まだ少し腰がだるいのか動きにキレが無い。俺が昨夜激しくがっついた所為なのは明らかなので、大人しく配膳役を承る。
 スルーされたアレンは微かに眉根を上げ――――――そして訝しげに寄せた。

「…………神田は痩せました?」
「…………あぁ?」

 五月蝿ぇな、とでも言いたげな顔でユウがアレンを睨んだ。どうもまだ眠いのかだるさの所為か余り機嫌が宜しくないようで、普段の二割増し位で喧嘩腰だ。

「シャツぶかぶかじゃないですか」
「あ」

 思わず声を上げた。確かにユウの着てるシャツはぶかぶかだ、胸も腹も余っている。――――――っていうかあれ、俺のさ!
 つー事は今俺が着てるのはユウのシャツって事だ、そりゃキツい決まっている。俺とユウじゃウエイトが違う。
 アレンに言われたユウは無言で自分のシャツを見下ろして、それから俺を見た。

「つーかこっちがお前のじゃねぇか」
「多分そうさねー…………あ」
「…………」

 ユウに肯定を返してからそろりとアレンを見る。アレンは何も聞いていない顔だ。よし。

「後で返すさ」
「汚すなよ」
「ユウ、俺の事何だと思ってるんさ…………」

 

 


「…………ねぇリンク。あの二人どうしてアレでバレてないって思ってるんでしょうね」
「さぁ…………」





 バレてないと思ってるのは本人達ばかり。
 丈は同じ位でもラビの方が二サイズ位大きいのを希望します。




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